脱色原作沿い

□強制的な旅へ
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おかしい。絶対におかしい。


だって先程まで私は教室にいたのだ。


開始一分以内には必ず眠ってしまうと噂の、富田先生の授業を受けていたはず。


なのに目の前には何処までも続く青空が上にも下にも広がっている。
地面や壁と言う境界のない空間。
感覚がおかしくなりそうだった。



「・・・ここ明らかに教室じゃない」


そんな分かり切っている事をぼやきつつ、私は目の前の人物に目を向けた。



マイクを持ったその人物は、どう見ても日本人ではなかった。


貴方どこ出身の方ですか?と聞きたくなるほどの、サラサラな肩までの銀髪。

大きめの目は、透き通るルビーに似ている赤い色だ。

すらっとした身体は白い着物にも似た服で覆われている。

そして極め付けは、まるで人形の様なその美貌だった。
欠点と言う物が考えつかないくらいの計算され尽くした容姿。
男か女か分からない中性的なその姿。


本当に人間なのかを疑いたくなる。


私はそのままその人を凝視して________

そして考えに至った。



・・・あ、これ、夢か。




間違いない。少なくとも、気付けば異世界!と言う可能性よりは現実味がある。
それにつまらないと有名なトミセン(富田先生)の授業だ。いま本物の私は、机の上でグースカ眠っているんだろう。



「それにしても・・・」
私は呟きながら、目の前の彼(?)に視線を戻す。






私って、こんな人がタイプだったのか・・・?





ここは夢の中だ。つまりは私の脳内。
コレは私の妄想の産物と言う事になる。



・・・うわー、なんかショックだ。



私はもう少し優しげで目立たない感じの人間がタイプだったはず。
美形は、確か私の友人の嗜好なのに。



ひょっとしてこの前に『薔薇〜貴方に贈る愛言葉〜』というアニメを見せられたからか。


確かにあのアニメにこんな感じのキャラがいた。
一度しか見ていないアニメのキャラが夢に出てくるほど、私はあのアニメを気に入っていたのだろうか。


それは無いとは思う。
個人的にアニメや漫画などは、バトル物の方が好きだ。


多分あまりにインパクトが大きかったから出てきたんだろう。
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