No.6

□ぼくたち受験生!
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「そういうネズミは模試の結果、どうだったんだ?」


ぼくが尋ねると、ネズミは澄ました顔で答えた。


「もちろんA判定だったけど?ちなみに国語は満点だ。」


ふーん。

A判定ね…。


「そう。なら、この生物の問題なんて簡単に解けるはずだよね?」


ネズミの目の前に生物の赤本を差し出す。


「ハッ、余裕だろ。貸してみろ。」

赤本を受け取り、問題に取り組み始めたネズミの顔が、どんどん強ばっていく。


「どうしたの?余裕なんでしょ?」


ニコッと笑いながら聞くと、ネズミは不貞腐れた表情で舌打ちをした。


「おれは生物は嫌いなんだ。実験用のラットとか言って、小ねずみ達を物のように使いやがるから。」

「でも好きとか嫌いとか関係なく入試には出るんだから、ちゃんと勉強しなきゃだよ。」

「文系の私大に行けば、生物なんて必要ない。」


本格的に機嫌を損ねてしまったネズミに溜め息が出る。


「ぼくと同じ国立大を目指すって言ったのはネズミだろ?ほら。教えてあげるから頑張ろうよ。」

「あんたに教えてもらわなくたって出来る。」


そんな強がりを言いながらも、一向に生物の赤本に手を付けようとしないネズミ。



しょうがないか。

最後の手段だ。



「この紙はなんでしょうか?」


ネズミの目の前に一枚の紙を差し出す。


「…!?あんたこれどうやって!?」

「ツキヨにお願いしたんだ。」


この紙の正体は、ネズミの模試の結果だ。


「きみはぼくに嘘をついた。判定、AじゃなくてBじゃないか。」

「あと2点でAなんだし、変わんねぇだろ。」

「そうだね。だから今まで何も言わなかったんだけど、きみがぼくをばかにするから。」


ドサリ


「今ネズミの前に置いた生物の問題集5冊。これ全部解き終わるまで、この部屋から出さないから。」



「は?紫苑お前なに言って…」

「ちなみにトイレにも行かせないし、もちろん家にも帰さないよ?」

「本気で言ってんのか…?」

「もちろん。きみと同じ大学に行きたいしね。大丈夫だよ。今から始めれば夕方までには終わるよ。」


「…この量が?」

「いいからやれ。」



「…分かりました。」




さぁ、楽しいお勉強の時間だ。






おわり(^o^;


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