No.6

□きみの隣で
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「紫苑、おまえこんなところでなにやってるんだ?再建委員会はどうしたんだよ?」


眠っている紫苑に、ネズミは思わず声をかけていた。


(しまった!声なんかかけたら紫苑が起きるっ)


紫苑が目を覚ます前に、この部屋から離れなければまずいことになる。




(だけど、ちょっとぐらいなら…。)



ネズミは我慢できず、静かに紫苑の頬へと手をのばした。





「…っ!?」


そっと、起こさないように触れた頬のあまりの冷たさにネズミは目を見開く。


この体温はネズミのよく知る、人を死の世界へと導くものだ。



「紫苑っ!?おい紫苑!」



急いで脈を調べるが、僅かな振動しか感じることが出来ない。


呼吸もか細く、本当に生きているのか疑わしいほどだった。



「うそだろ?しっかりしろよ…紫苑!」



ネズミは紫苑のあまりの状態に冷静さを失い、紫苑の肩を力いっぱい揺さぶった。



だが、紫苑はピクリとも動かない。



「嫌だ。嫌だっ!紫苑、お願いだから目を開けてくれ!頼む…じゃないとおれは……」



紫苑を抱きしめ、ネズミは声を震わせる。



「おれが悪かったんだ。再会を必ずなんて言っておきながら、紫苑との再会を恐れていた。再会せずに、消えてしまおうと考えていたんだ。でもそれは、」



ネズミは抱きしめていた体制から少し起き上がり、紫苑の顔を見つめて言葉を続けた。



「でもそれは、紫苑。おまえを失うことを何よりも恐れていたからなんだ。こんな日が、いつかくるんじゃないかって…。なぁ紫苑!聞こえるなら目を開けてくれ…!」




ネズミの瞳から一筋の涙がこぼれ落ち、紫苑の手を温かく濡らした。



(つづく)
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