No.6

□きみの隣で
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寄生蜂によってぼくの身体に刻み付けられた紅いあざに変化が起き始めたのは、ネズミと再会の約束を交わしてから3年が経ったころのことだった。


紅い蛇が、ぼくの身体を締め付けてくる。


日に日に強くなっていく締め付けに、とうとうぼくは身体の自由を失った。


ベッドに横になりながら、まるであの時のようだと思い出す。


寄生蜂から生き延びた夜に見た、あの夢。

山勢さんの腕が、胴体から首に巻き付いてくる感覚。


この締め付けは、その時の感覚によく似ていた。


ネズミにその夢の話をした時、たしかネズミは
「負い目があるからだ」と言った。

まぁ結局、夢での出来事は、そんな感情だけで起きたわけではなくて、実際にぼくの身体に起きていることを少し違ったかたちで表していたんだけど…。



じゃあ今の、この感覚は何?


何かにたいして負い目があるから、締め付けられているように錯覚してしまっているのだろうか…?


考えながら少し笑ってしまう。

違う。
これはそんなものではない。


これはきっと、エリウリアスからの罰だ。


ぼくは彼女と約束したように、No.6を良いものに変えることが出来なかった。

だからこれは、その報いなのだろう。



呼吸をするたびに、骨がギシギシと悲鳴をあげる。


もう、諦めてしまおうか。


生きることを諦めて、紅い蛇に身体を譲れば、きっとこの苦しみからは解放される。



だけど…



既に感覚を失った唇を噛み締める。

だめだ。
ネズミと再会するまでは諦めてはいけない。



ネズミに会いたい。


その気持ちがぼくを死なせてはくれなかった。



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