BOOK

□チューより
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今日の天気は晴れ。雲一つない青空。
アニメインに行ってから買った本を読むためにカフェに寄って、美味しいもの食べて。
とっても楽しい楽しい一日。


…になるはずだった。


「…ったく何がチューだ」
思い出しただけでも腹が立つ。あのクセ毛教師め。
とさっきからぶつぶつ苦虫を噛み潰した表情で同じことを繰り返している。

「まだ怒ってるの?いい加減忘れなさい」
このセリフも何回言ったことだろう。


「俺が何でこんなに怒っていると思ってるんだ」
「私のためでしょ」
このやり取りは初めて。


「…わかっているなら当のお前が何でそんなに落ち着いてるんだよ」
「私はやられたときにボッコボッコにしてやったもの」


秀のこのどす黒い怒りの原因は昨日にまで遡る。




昨日。生徒会室。
「ぎゃあああああああ」
私の悲鳴が生徒会室中に響き渡った。

久しぶりに来たと思ったらゲームショーに行こうというお誘い。

無理だと思って
「健君に首筋にチューしたら行ってあげる」
と条件を出したらあっさりとうめセンセは成し遂げたのである。

ゲームショーに行くことになったのはともかく
うめセンセと健君の首筋チュー写真をゲットktkr教師と生徒マジ正義このあと秀も割り込んで3pとか美味しすぎてよだれとまんねええええええええとか幸せ絶頂だった矢先に!

この教師は私のおでこにチューしてきやがったのだ。

あやの差し金ではあるがあやを責めることはできず、怒りに任せてパンチやキックを繰り出した。


運動神経に自信があるし力もあるので本気で殴ってしまったことを後悔したけれど、うめセンセはぴんぴんしている。
相変わらずゲームが絡むとすごい人だ。



でもうめセンセは決定的なミスを犯してしまった。私にチューをしたということは必然的に。

「お菊は何にチューすりゃいいんだ」
「床にでもしてろ」

秀を敵に回すということ。


この時点ですごい禍々しいオーラを発していて、近寄りがたいっていうかうめセンセ以外は近寄らなかった。


このあとなんやかんやありフィギュアを落札することを条件に秀は承諾したのだけれど、正直意外だった。絶対行かないと思っていたのに。
とりあえず全員約束をしてその日は解散したのである。




今日。

うめセンセとの待ち合わせ場所に行こうと支度をしていると携帯の着信音が鳴った。

秀からである。

「もしもし?」
「今日の約束適当な理由つけてすっぽかせ」

これだけで電話は切れた。

指示通りうめセンセにオフ会を理由に断り、今に至る。




「もう、そんな陰気くさい顔してたらほかのお客さんにも迷惑でしょ。出るわよ」

「…ああ」

渋々席を立ち、カフェを後にした。
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