サカナさん

□Half asleep
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愛されるということが、僕にはよく分からなかった。

だけど、君に出会ってから。
僕はいろんなことを君に教えてもらったから。

君にもらった分の幸せを、僕は返せているのかな?



Half asleep



何度触れあい抱き合ったって、分からないことがある。
君と迎える朝が、暖かい日射しが、君の体温が、なにもかも幸せだ。
(満ち足りている、こんなにも)

こんな僕が、君は必要だと言ってくれた。僕も君が必要で、離れたくない、離したくないと思う。

それが例え、僕のエゴだったとしても、君が何度も抱き締めてくれるならそれでいい。


「くろこ…」


ぎゅっと、抱き合って
微笑み合って
触れるだけのキスをした
(いつもは強引なくせにね、こんなときだけ弱々しい)

「もういっかい、」

そう言って、今度は長いキスをしてきた。

「今日は随分甘えたですね」
「んー」
「眠いんですか?」
「ちょっとだけ…」


シーツの中で、がっしりとした腕が僕の身体を包んで、引き寄せられる。あと少し近付けば、また唇が触れてしまいそうな距離。急に恥ずかしくなって、目が合わないようにそらした。

「も、もう少し寝てたらどうですか?」
「じゃあいっしょにねよーぜ。おまえもねむいんだろ?」
「…別に眠たくは、」

否定しようとしたら、火神くんはもう目を瞑って眠っていた。
ひどく安心したような、やわらかな寝息をたてながら。



僕は君に、何かを返せているのかな。
僕の“好き”は、どれだけ伝わっているのかな。

寝顔に聞いてみても分からないけど。

ねぇ、火神くん。


「火神くんは、幸せですか?」


もちろん、返事が返ってくるはずもなく、僕も静かに目を閉じた。

眠たくはなかったけど、シーツの中で二人分の体温は心地よく、気付けば僕もウトウトしていた。

夢の中でも、君に会えたらいいな。


そんなことを思いながら、僕はゆっくりと眠りについた。






そういえば、火神くんがいつもの笑顔で

「幸せに決まってんだろ!」

なんて言ってくれたのは、夢だったのかな。



それとも。





(そして僕は泣いた)
(気付いたときにはもう、愛)

END

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