サカナさん

□ハロー、メリークリスマス
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綺麗に飾られたイルミネーションも、街を流れるクリスマスソングも、夜空に輝くオリオン座も。

何故か今は、全部が嬉しい。
(こんな気持ち、はじめて)


 ハロー、メリークリスマス


12月25日。街は、言わば12月最大のイベントのクリスマスだ。世間は恋人達のクリスマスなんて言うけれど、今俺の隣にいるのは、可愛い女の子でなければ、恋人でもない。

「なんでこんな日に俺を誘ったんスか?」
「あ?」
「だって、今日クリスマスじゃん」

「クリスマス?

…どーでもいい。」

青峰っちはいつもみたいにけだるい声で言った。どうでもいい、って…こっちは突然の誘いでビックリしたっていうか、ちょっとだけ嬉しかったのに。一体何考えてんのか。

「…どこ行くんスか」
「どこだっていいだろ」
「はぁ!?」

青峰っちは人を振り回す天才だ。だけど、普段はこんなんなのに、バスケする姿は世界一かっこいいんだ。
そんな姿に俺は・・・
(俺は?…なんだよそれ、わけわかんない)

「あーあ、どうせなら可愛い子と一緒にクリスマス過ごしたかった!」
「俺じゃ不満かよ」
「別に不満ってわけじゃないっスけど〜…」

「気付いたら、お前誘ってたんだよ」


…はい?


「え、何で…」
「わっかんね。何でだ?」
「いやこっちが聞いてるんス!」

なんてセリフをサラッと口にしちゃんだこの人は!
それに動揺しちゃってる自分も、ちょっとおかしい。なんで心臓の音がこんなに大きく聞こえるんだよ。
これじゃ、まるで……
(…………そんなわけ、ない)


しばらく沈黙のまま歩いてると、目の前には人だかりができていた。

「ん?何スか、この人だかり」
「あれだろ」

青峰っちが指差すほうを見ると、それは広場に飾られた大きなクリスマスツリーだった。イルミネーションなどで装飾されていて、綺麗な光たちがそのツリーを包んでいた。

「うわぁ・・・きれー・・・」
「すげぇ・・・」

流石の青峰っちも、そのツリーに目を輝かせてくぎ付けだった。
いつもは何でも興味ないのに、こんなときだけはまるで小さな子供みたいになるんだから。可愛いところもあるんだよね。

って、俺はツリーよりも青峰っちにくぎ付けじゃん。なんだよこれ、なんでこんなにドキドキするの?
(わからない、もうなにもかも)


「黄瀬…」
「ん?」

「俺、やっぱ今日お前誘ってよかったわ。

すげぇ楽しい」

青峰っちが俺のほうを向いて、大好きな笑顔言った。そしてその言葉を素直に嬉しいと感じると同時に…

青峰っちに対する想いが何なのかが分かった気がした。


「お、れも…今日、青峰っちと一緒にいれて…よかった…かも」
「ハハッ、『かも』かよ」
「だっ、だって最初はクリスマスとかどうでもよさそうだったじゃないっスか!」

だって最初は、いつもみたいに何も考えてなかったのに。

「クリスマスだからとかじゃなくて、お前を誘いたかったからお前を誘ったんだよ。いいだろ、別に一緒にいれたらイベントとか関係ねぇだろ」
「…っ、」

青峰っちは、少し照れくさかったのか顔を俯かせた。そしてすぐにクリスマスツリーのほうに目を移して、「ま、悪くねぇけど…クリスマス」なんて呟く青峰っち。


やばい、俺・・・青峰っちが好きだ。

伝えたいことが多すぎて、何も言えなかった。青峰っちは俺と一緒にいたかったんだよね?それって、俺が“特別”ってこと?

青峰っちは、俺のこと・・・好き?


「青峰っちのばか…」


(やっと分かった。君が好きだよ、大好き)


「あ?何か言ったか?」
「…っ、俺も、クリスマス最高って思ったんス…!」
「はぁ?なんだそれ」


こんな気持ちに気付けたのは、やっぱりクリスマスのおかげかな?もしかしたら、サンタクロースからのプレゼントかもしれない。





(来年も、再来年も、その先も)
(同じ想いでまた君の傍にいれたらいいな)

-END-

Happy Merry X'mas for you!

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