奇跡と運命book
□夏と始まり
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ホームルームが終わり、さっきまでうるさかった人達はまた騒いでいるんだろうなと思ったが声が聞こえて来ない。
不思議に思いそちらを見ると先ほどと大違いの暗い顔で、
「勉強…勉強…」
「あたし…今日から勉強しよう……」
「1日10時間勉強……」
一体何があったんだ。
よく見るとクラスの半分はそうなっており、全員勉強をするためか素早く教室から出て行った。
…明日には治っているといいな。
教室から出て行く人達を見ていると入り口に見なれた人が立っているのが分かった。
そして私に気付くと手を振ってきた。
私はカバンを持ってかけよる。
【美咲のクラス、長かったね】
『先生が勉強の話初めちゃって…』
私が苦笑すると理夢も苦笑した。
理夢は私の大親友。
小さいころから一緒、まぁよくに言う幼馴染と言うもの。
そして私達には誰にも言えない秘密がある。
それは、
【ねー美咲ー、リボーンの新刊買った?】
『新刊?買ったよ、貸そうか?』
【ホント?じゃ、明日見たい】
『オッケー』
私達がリボーンファンという事。
中学に入ったころから好きになって隠してきた私だが、
中二の時、理夢もリボーンが好きな事が分かり、今では毎日のようにリボーンの事を話してる。
ちなみに、2人ともこれと言った好きな人はいない。
かっこいい人と言えば、ほぼ全員が思い浮かぶが好きな人と聞けば固まってしまう。
決めれないということだ。
【…でもさー】
まずは、
と隣を歩いていた理夢が私の前に立つ。
『宿題、でしょ?』
正解というように理夢がニコッと笑う。
夏休みの宿題は早めに終わらそう、と理夢と前から決めていた。
【美咲、数学教えてね】
『んー………じゃ、今度のテスト50点ね』
え"!と理夢が顔を青ざめる。
『クスッ…冗談だよ、でも努力はしてね』
【え、…うー…一応、頑張る…】
ポツリポツリと呟く姿が可愛くて隣を歩く理夢の頭に手を置いた。
その時、5時のチャイムが鳴った。
『あ、ごめん。迎えに行く時間だから先帰るね!!』
【あ、ホントだ、じゃ夜にまたメールするね?】
『うん、お願い!』
私は理夢に手を振って、玲奈を迎えに保育園まで走った。