白き雪の結晶book

□転入生
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「転入生を紹介する。転入生、名前と皆に一言」



そう言って転入生をチラリと見る先生。心なしか緊張しているように見える。
転入生は息を死入こむと丁度良い声の大きさで言った。






『イタリアから来ました、宮野真冬です。日本語はこの通り大丈夫なので皆さん、よろしくお願いします』





そう言って、ニコッと笑って笑顔を見せる転入生。きっと男子の半分は落ちたのではないのだろうか。


髪色は黒で長さは胸ぐらい。身長は自分と同じぐらいだと思う。





(…イタリアといえばリボーンと獄寺君と一緒か……)






…あの転入生もマフィア関係かと思ったがそんな考えはすぐに消した。
あんな子がマフィアなわけが無い。
ただの偶然だ。

親の事情でここに来たとかきっとそういう理由だろう。









「じゃあ席は…沢田の隣が空いてるな。沢田、分かるように席を立ってくれるか?」

「あっ、はい」





席を立つと転入生はこちらに気づき、隣の席へと足を動かす。
俺はそれを見て席を座った。


その時、休み時間開始のチャイムが鳴り、先生が「解散!」と言う。
すると教室にざわつきが戻る。

ふと顔を窓の方へ向けると、ちょうどこっちを見ていた転入生と目があった。思わず目をそらす。






「っ…」

『ねぇ、沢田君』

「えっ、な、何?」

『あそこの席の人は休みなの?』





そう言って転入生が差した先は獄寺君の席だった。
朝、学校へ行く時にリボーンから遅れると聞いたが、獄寺君はまだ来ない。




「あ、ううん。休みじゃなくて遅れてくるらしいんだ」

『そうなんだ。その人の名前はなんて言うの?』

「え!…えーと……獄寺隼人って言うんだ」


『!!……獄寺…隼人…?』

「そ、そうだけど…宮野さん?」





獄寺君の名前を出してから宮野さんの様子がおかしい。さっきまでとは違う、真剣な顔をしている。


……やっぱり、宮野さんはマフィアなのだろうか。

宮野さんを見ていると俺の視線に気がついたのかこちらを見る。






「…あの、宮野さん……」

『ん?』

「えーと…、……俺のこと沢田君じゃなくてツナでいいよ」

『ツナ?』

「うん。皆そう呼んでいるから宮野さんもそう呼んで…」


『あ、なら私のことは真冬って呼んで。呼び捨てでいいから』

「う、うん分かった。えっと…真冬」

『うん!』







宮野さんってマフィアなの?

ホントはそう聞こうとしたけど、止めた。
聞いてはいけないような気がして。






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