奇跡と運命book
□夏と始まり
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ミーンミーンと何かを言うようにセミが鳴く。
空には雲は1つもなく、ただただ青い空が見える。
ここ、日本の季節は夏。
夏だから普通に外は暑い訳で、涼しくしようと誰かが窓を開けて外からくる風を待っているが、
風など来ないこの教室は外と同じくらいとても暑かった。
ちなみに夏の暑い日に付けられるエアコンは、先生達が節約と言ってつけられてはいない。
暑さにバテている私はクラスはどうなっているだろうと思い、教室を見る。
後ろの窓際の方に座っている私の目に映るクラスの様子は暑いからと机にうつぶせになってたり、下敷きで自分を仰いだりと、
そんな事はしていなかった。
逆に喜んでいた。
一瞬、?が頭に浮かんだがその理由がすぐに分かった。
「明日から夏休みだー!!」
「部活も引退したし、何しよっかなー」
「遊びまくろーぜ!」
その人達は大きな声でそんな事を言ってハイタッチをしている。
そう、明日から夏休み。
といっても普通の夏休みじゃなく、
高校最後の夏休みだ。
ハッキリ言うとそこまではしゃぐ気持ちが分からない。
でも1つだけ知ってほしい。
今はホームルーム中なんだけど。
その時、
バァアン!!と教室の雰囲気を消すように先生が教卓を叩く。
「お前ら!遊んでいる暇はないぞ、これから受験だ!」
その言葉に皆がピクリと動く。
「大学に受かりたい奴は今のうちに勉強しないと受からないからな!」
それから5分間、先生は勉強の話を長々と話していた。