白き雪の結晶book

□正体
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思わず息をとめる。

真冬の言葉に驚いたわけじゃなかった。真冬の居る場所に俺は驚いた。


普通にその場で立っているならよかったかもしれない。でも、真冬がいる場所はフェンスの上だ。




「ちょ、真冬!?そこ危ないよ!!」

『え?大丈夫だよ、私バランス感覚あるから』

「そういう問題じゃなくて普通に危ないから…」



そう言うと真冬はうーん、と少し考えた後、素直にそこから降りてくれた。ふわり、と長い髪の毛が揺れる。





『…そういえば、何でツナは屋上に来たの?』

「昼食だよ、いつもここで食べてるから」

『え、そうなの?』

「うん。あ、よかったら真冬も一緒にどうかな?」




きっと真冬も屋上で食べようとしていたのだろうか、足元のにはお弁当らしき包みが置いてある。






『い、いいの…?私なんかが…』

「もちろんじゃねーか、人は多い方が楽しいからな!」

『…?』


「あ、自己紹介がまだだったな。俺は山本武!よろしくな真冬」

『こちらこそ、よろしくね山本』





ニコリ、と笑う真冬を見ていれば「おい真冬!!」と獄寺君が真冬を呼ぶ。

『何?』と真冬が首を傾げると獄寺君は「お、おまえ…」と言葉を続ける。






「なんでここにいるんだ」





睨みつけるように言った獄寺君の言葉がまるで自分に言われているように感じ思わず姿勢を正す。
チラリと真冬を見ればそれに怖がった様子は一つもない。




『言われたの。こっちにこいって』

「…誰にだ」

『それは…』


「俺だぞ」





真冬の足元から声が聞こえ全員がそこを見るとそこにはリボーンがいた。




「リ、リボーンさん!!」

「真冬は俺がイタリアから呼んだんだ。そうだろ?真冬」

『うん、そうだよ』





真冬は足元に居るリボーンを見てそう返事をした。
「…やっぱり真冬ってマフィアなの?」と聞けば、クスリと笑って『気付かなかった?』の一言。






「じゃあ…真冬と獄寺君て…知り合い…なの?」



「し、知り合いというか……」

『幼馴染、だよ』




小さい頃よく遊んだの。
そう言う真冬の言葉に「ええ!!」と声をあげればリボーンに「うるせぇ」と怒られる。

いくらなんでも小さい頃の獄寺君が真冬と仲良く遊んでいる姿は想像できなかった。






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