遥かなる時

□共同生活1
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「晴明、居るか?」
「此所だ、博雅。」
「おう、此処におったか。
…晴明、こちらの娘は?」
博雅と呼ばれた人は、私を指差した。

「私の新たな式神の深雪だ。」
晴明様の説明に合わせておずおずと頭を下げた。
「そうか…。式神であったか。」
そう言い、うんうんと頷いている。
とても人の良さそうな、晴明様と同年代の男性だなぁ…と思いながら見ていると
「とは言っても、人間とがな。」
そう晴明様が言ったとたん、大きな目を見開き、まじまじと私を見つめてきた。

「そなた…人間なのか?」
「はい。一応。」
「では何故そのような妙な格好をしているのだ?」
博雅さんは私の制服を指差して聞いてきた。
私は、何て答えたら良いのか分からずに晴明様を見た。

晴明様は私の視線に気づいたのか、パチンと扇を閉じた。
「博雅、 深雪は形代としてこの時代に連れてこられたのだよ。 」
「連れてこられた?」
「そうだ。簡単に言えば、命を狙われていると言うことだ。だから、私の式神と言うことにして、そばに置き守ることにしたのだ。」
晴明様はそう言うと、薫に用意させた、お酒を盃に自分で注いで飲み始めた。
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