遥かなる時

□共同生活1
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身支度をして、庭に面した広い一室に行くと、もう晴明様は座っていた。
私に気づいた晴明様は、扇で自分の向かい側を指した。
「 深雪、これへ。 」
私は指された場所に座った。

しばらくすると、密虫と薫が1つずつお膳をもって現れた。
密虫は晴明様の前に、薫は私の前にお膳を置いてくれた。
「わぁ…美味しそう。」
焼き魚にお味噌汁そして白い綺麗なお米がお膳の上に乗せられていた。

「美味しかったぁ。」
私は食べ終わったお膳を前に、煎れたての温かいお茶を飲んでいた。
晴明様も同じように、お茶を飲んでいたが、ピクリと動き湯呑みから唇を離して、ふっと笑った。
「晴明様、博雅様がこちらに向かっております。」
「そのようだな。密虫、博雅を此処まで連れてこい。」
「承知しました。」
密虫は深々と頭を下げて、部屋の外へ出ていった。
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