遥かなる時

□出会い
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「申し訳ございません!!」
密虫が私に頭を下げてきた。
「あのとき 深雪 様を運ぶ、駭駭しい黒い雲を見たときに、これは助けねばならぬと思ったのでございます。」
密虫の瞳は怯えていたが、決意の色を湛えていた。
「ありがとう。もし、密虫が私を助けてくれてなかったら、生け贄になってたってことだもんね…」
急に恐ろしくなって、体がふるりと震えた。

「これからのことなのだが、 深雪は、私が新たに迎えた式神と言うことにする。そうすれば、短い髪も急に現れたことも怪しまれずに済むからな。 」
晴明は私に目線を会わせるように、屈んで言ってきた。
私が頷くと、良い娘だと優しく微笑んでくれた。
「これからは、私のことは晴明様と呼ぶように。式神は、召喚者を呼び捨てにはしないのだ。」
「晴明様?」
「そうだ。そこさえ守り、大人しくしていれば、私のそばに置き、守ってやれる。わかったな?」
私はゆっくりと頷いた。

「今日は、疲れたであろう?もう、夜も更け始めた。ゆっくりおやすみ。」
そう言い残すと、晴明様と密虫は、部屋から出ていった。

今日は色々聞かせれたから、疲れたはずなのに、2人が出ていってから30分以上たっているのに、全然眠れない。
「少しだけ…庭に出てみようかな…」
私は、少し肌寒さを感じながら、部屋の外に出た。
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