遥かなる時

□始まり
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「すごいきれいな神社だね、 深雪。 」
美咲はカメラを手にしたまま、呆然と言葉を発していた。
「ホントに綺麗だね…」
私もカメラ片手に、うっとりと答えていた。

『もし…。こちらにこじゃれ。こちらにこじゃれ。』
「?美咲、なんか言った?」
「言ってないよ? 深雪の空耳でしょ?そんなことより、早く中に行こうよ♪ 」

『こちらに来ておじゃれ。 深雪 殿。』
今…私のこと呼んだよね?
気になって声のする方に歩き出してみたら
『嬉や。私の声が届いていやる。嬉や。早よう、早よう。 様が待っておいでじゃ。』
誰が待ってるの?
『 様じゃ。』
聞き取れない…
声の方向にまっすぐ歩いているとしめ縄のかかっている石の前にたどり着いた。

『さの扇じゃ。手にとって胸に当てておくれ。』
「こう?」
私が扇を胸に当てたとたん、私の回り一帯が光に包まれた。

「 深雪 !!」
美咲の呼ぶ声がすごく遠くにきこえて、ゆっくりと目の前が白くなっていった。
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