遥かなる時

□出会い
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よく、本とかで美男子として描かれる安倍晴明。
私の目の前にいる男、涼しげな切れ長の瞳、少し高めの鼻、形の整った唇、均整のとれた顔は、確かにイケメンだった。

ホントに安倍晴明ってイケメンだったんだ…
そんなことを思い見ていた。
すると安倍晴明は、持っていた扇を口許に持っていきふわりと微笑んだ。

「 深雪 、そなたはどのようにしてここに来たのだ?」
「私は、女の人の声で、こっちに来てって言われたから、近づいてっただけ。そしたら、光に包まれて、気づいたらここにいた。」

そう言えば、あの女の人は誰だったんだろう?
「やはりな。そなたは、形代として呼ばれたようだな。」
「形代?それって、呪いに使う生け贄のことだよね?」
「ほう…。よく知っているな。そなたは、どこぞの姫の呪いの形代に呼ばれたが、私の式神である密虫が此処に連れてきたのだ。」
「密虫?」

私が首をかしげて聞くと、晴明は扇を庭の方に向けた。
そこには、紫色の着物を着た女の人がひっそりと立っていた。
柔らかい面差しの美人な女性だった。
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