BL
□忘れてもそばに…
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タッ タッ タッ タッ
「あの!病院内はお静かに…」
誰の声も耳に入らなかった
ただテツの無事な姿を見たくて−。
ガラガラッ
「テツ!!」
〈黒子テツヤ〉と書かれている
病室の扉を勢いよく開くと
頭に包帯を巻いていたテツが振り返った
「あ、あの…」
少し困惑しているようだったが
他におかしな様子はなく
安堵のため息を吐いた
「キミは黒子くんの友達かい?」
テツの隣から声が聞こえ
顔を上げると医者の姿があった
「あぁ。そんなとこだ」
俺が返事をすると
医者はカルテを見下ろして
掛けていたメガネをクイッと上げる
「黒子くんの容態なんですけど」
軽症だろ。とか考えていた俺は甘かった
医者の言葉なんて頭には入らず
ただ流れていった
『記憶喪失です』
その言葉を除いて
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