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『やねよりたかい〜こひのぼり〜、おおきいまごいは〜おとうさん〜!』

イナズマジャパン宿舎の敷地内に高く掲げられた鯉のぼり。

日本独特の行事のそれに、各国のサッカーチームも見物にやって来ていた。


『ちいさい ひごひは〜こどもたち〜おもしろそーにおよいでる〜!』

陽太は生まれて初めて見る鯉のぼりに目を輝かせ、それの歌を口ずさんでいる。



『おおきーですー!!』



?「オー!! ユーは確かフドーのブラザーのヨータだね?」

『あ、ディランさん!』


?「“コイノボリ”と言うのか…立派なものだ」

『マークさんも!いらっしゃいです〜!』

トテトテと二人の所まで走っていくと、ディランに抱っこされ、マークに頭を撫でられる。



ディラン「アレ?ヨータ、何を食べているんだい?」

『これですか?“かしわもち”っていって、こどもの日のおやつですよ〜』


マーク「へぇ、おモチなのか。不思議な匂いがするモチだな」


『かしわもちのはっぱ、たべれないです』

はむはむと柏餅を食べる陽太だったが、興味深そうに見詰めてくる二人を見て言う。


『おふたりもたべますか?』

良いのかい!?とディランが喜ぶ。

『ボクちょっとかじってますけど……』

ディラン「ノープロブレム!Thank you ヨータ!」

そう言うと、柏餅を一齧り。


『マークさんもどうぞです!』


マーク「俺も良いのか?ありがとう」

陽太がマークの口元まで餅を近付けると、マークは礼を言って一口齧る。



マーク「ありがとう、おいしいよ」

『よかったです〜!』

さっきより小さくなってしまった柏餅を陽太は再び食べ始めた。




しばらくすると、土門が呼びに来て二人は自分達の宿舎へと帰って行った。



『こいのぼりさん、キレーですぅ』


?「解ってないなぁ陽太は」

後ろから聞こえてきた声に振り替えると、そこには木暮が立っていた。


『わかってない?』

木暮「そ、鯉のぼりが何であんなに大きいのか。どうして子供の日に掲げるのか知らないだろ?」

『……しらないです』


木暮「……鯉のぼりはさ、悪い子供を食べる為に掲げるんだ!」

『ぴっ!?』


木暮「こんな話が有るんだけどさ…――」






昔むかし、まだ【鯉のぼり】てのが無かった時、ある民家の家の子供がすっごい悪ガキだったんだ。

人の畑に忍び込んでは、畑をメチャクチャにしたり、

木に登って降りれなくなった子猫を、更に上の枝に乗せたり、

干してあった洗濯物に泥をつけたりとか…とにかく人に迷惑ばかり掛けてたんだ。


そんな子供は、ある日土地神が住むと言われている池にやって来た。

皆が怖れ崇拝する神を倒したら、自分が皆に持て囃されると思ったんだ。

だから子供は池に向かって、たくさんのゴミを投げ捨てた。
最後に一番大きなゴミを投げようとして、子供は足を滑らせて池に落ちちゃったんだ。
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