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□子供の日
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『〜♪〜♪♪』
本日5月5日。
そんなゴールデンウィーク真っ直中の今日、陽太は不動の部屋で鼻歌まじりにある作業をしていた。
不動「何してんだよ、陽太」
サッカー雑誌に目を通していた不動は、陽太のその様子を尋ねた。
不動の問い掛けに、陽太は首をくるり不動に向けると、にぱっと笑った。
そしてその手に持っていた物を不動に見えるように高く掲げた。
『かぶとですー!』
不動「ぶっ!!」
陽太が掲げたその物とは、新聞紙で作られた兜…らしき物だった。
しかし残念ながら、らしきものだ。
なんであんなとこからツノ生えてるんだよ…。それが不動の第一印象。
そして全体的にグシャとしている。
不動「……陽太、それ被れねーだろ」
『?』
そして兜では重要な点である、“被る”事が不可能であった。
そして何を思ったのか、陽太は兜を頭に乗せる形をとった。
その光景は、再び不動の腹筋を直撃した。
―――---……‥
――--…‥
不動「――ったく、ここはこう折るんだよ」
『(コクコク)』
不動「で、次はこうで…」
『こうです?』
不動「違ぇ、なんでそこ折んだよ」
いつの間にやら、見かねた不動が指導を行っていた。
『できましたーっ!』
パアアァと言った擬音が似合うほど、陽太は嬉しそうに兜を掲げた。
不動「おー、よく出来ました」
陽太は早速兜を被ると、今度は新聞紙を細く丸め始めた。
どうやら刀を作るらしい。
最後にテープで止めると、嬉しそうに笑った。
その姿を見て、不動は無意識に頬を緩めた。
そして小走りでこっちに駆けて来る陽太の頭を撫でてやろうと手を伸ばした。
しかし、不動の伸ばした手は虚しくも空を撫で、無防備だった顔に紙刀を喰らった。
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