マギ長編

□24
1ページ/1ページ



アリババ「おーい、アラジン。何かあったか〜?」

アラジン「ないねぇ〜。石で出来た置物ばかりさ」


アリババ「キリの方は〜?」


『駄目だな。部屋全体の匂いを探っても、全て石の匂いしかしねぇな』

アリババ「そっか〜。どうやらここは【宝物庫】じゃなかったみてーだな」

下ろしていた腰を上げ、アリババは別の建物に移動を勧める。

アラジンも承諾し、二人が外に出ようと出口へ向かう。



アリババ「わぁああああ!!!」


『っ、アリババ!どうし…た』

見ると、全身から血を流した領主の奴隷、ゴルタスが立っていた。


アリババ「ち、ちくしょうテメーやる気か!?」

短剣に手を伸ばすアリババを、アラジンが制した。


アラジン「待ってアリババくん!この人…もう…」

アラジンが言い終える前に、ゴルタスは力なく倒れた。


キリフォードもやって来て、三人は彼の様子を伺った。


ゴルタスは前が焼けただれ、あまりにも酷い状況だ。
しかしそれより、アリババとキリフォードは背中の傷口を見て顔をしかめた。


『あんのクソ野郎……ッ!』

アリババ「キリ、落ち着――」

その時、同時に二人は見た。

アラジンの背後から、鋭い一撃を構え迫る【彼女】の姿を。



アリババ「アラジン!!」

ドゴッッ!!!


『ぅぐっ!!重てぇ…ッ!』

アラジンを片腕に抱え、間一髪の所でキリフォードがモルジアナの一撃を受け止める。

一瞬驚いたモルジアナだったが、すぐに次の一撃をキリフォードの腹に喰らわせた。


『ぅっっ!!!』

激痛と吐き気に耐え、モルジアナに反撃をと思ったが、間を置かずに彼女はキリフォードの防御を掻い潜り、アラジンのみを蹴り飛ばした。



『チッ!しくじった!!』
アラジン救出の為、駆け出そうとして立ち止まる。



アリババ「ケッ、下民も領主もここまで来たら関係ねーよ!この盗っ人が。

まずは、アラジンの笛返せよ!話はそれからだ!!」

勇み立つアリババに対し、ジャミルの様子が明らかにおかしい。

隙を見てアラジンを探すアリババ。アラジンは先程の攻撃でかなり遠くまで飛ばされていた。


すると、モルジアナがアラジンの所へ向かった。


アリババ「あっ!!」

ガンッ!!

アリババも後を追おうとしたら、ジャミルが自身の長い剣をアリババの足元に突き立てた。


ジャミル「待ちたまえ君ィ……、まだ君の刑は執行されていないじゃないか…」

アリババ「刑?」

そうだ、と言ってジャミルは怯えきった目でアリババに罵声を叫んだ。


キリフォードはその様子を見て、ああ…成る程。と呆れ果てる。

『お前、実は単なる紙メンタルビビリ野郎だった訳だ?』

今まで領主に感じていた怒りが霧散していく。否、もはや怒りすら感じる価値がないと判断した。



アリババ「ここは【迷宮】だぜ?誰もが人生かけて命張る場所!!怖けりゃ家で震えてな。坊っちゃんよォ!」

二人の言葉にジャミルの堪忍袋の緒が切れ、剣を構えた。


ジャミル「下民には、実力で判らせねばならないようだな…!!」


『んな、へっぴり腰で何が実力だよ坊っちゃん。怖ぇならもう帰れや』

キリフォードが野次る。
溜まってた分の鬱憤はキチンと晴らす。


アリババ「キリ……」

溜め息混じりにアリババが呼ぶ。

アリババ「……アラジンを頼む」

『お任せを』

ニヤリと口角を上げて、キリフォードは地を蹴った。

_

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ