マギ長編
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アリババ「おーい、アラジン。何かあったか〜?」
アラジン「ないねぇ〜。石で出来た置物ばかりさ」
アリババ「キリの方は〜?」
『駄目だな。部屋全体の匂いを探っても、全て石の匂いしかしねぇな』
アリババ「そっか〜。どうやらここは【宝物庫】じゃなかったみてーだな」
下ろしていた腰を上げ、アリババは別の建物に移動を勧める。
アラジンも承諾し、二人が外に出ようと出口へ向かう。
アリババ「わぁああああ!!!」
『っ、アリババ!どうし…た』
見ると、全身から血を流した領主の奴隷、ゴルタスが立っていた。
アリババ「ち、ちくしょうテメーやる気か!?」
短剣に手を伸ばすアリババを、アラジンが制した。
アラジン「待ってアリババくん!この人…もう…」
アラジンが言い終える前に、ゴルタスは力なく倒れた。
キリフォードもやって来て、三人は彼の様子を伺った。
ゴルタスは前が焼けただれ、あまりにも酷い状況だ。
しかしそれより、アリババとキリフォードは背中の傷口を見て顔をしかめた。
『あんのクソ野郎……ッ!』
アリババ「キリ、落ち着――」
その時、同時に二人は見た。
アラジンの背後から、鋭い一撃を構え迫る【彼女】の姿を。
アリババ「アラジン!!」
ドゴッッ!!!
『ぅぐっ!!重てぇ…ッ!』
アラジンを片腕に抱え、間一髪の所でキリフォードがモルジアナの一撃を受け止める。
一瞬驚いたモルジアナだったが、すぐに次の一撃をキリフォードの腹に喰らわせた。
『ぅっっ!!!』
激痛と吐き気に耐え、モルジアナに反撃をと思ったが、間を置かずに彼女はキリフォードの防御を掻い潜り、アラジンのみを蹴り飛ばした。
『チッ!しくじった!!』
アラジン救出の為、駆け出そうとして立ち止まる。
アリババ「ケッ、下民も領主もここまで来たら関係ねーよ!この盗っ人が。
まずは、アラジンの笛返せよ!話はそれからだ!!」
勇み立つアリババに対し、ジャミルの様子が明らかにおかしい。
隙を見てアラジンを探すアリババ。アラジンは先程の攻撃でかなり遠くまで飛ばされていた。
すると、モルジアナがアラジンの所へ向かった。
アリババ「あっ!!」
ガンッ!!
アリババも後を追おうとしたら、ジャミルが自身の長い剣をアリババの足元に突き立てた。
ジャミル「待ちたまえ君ィ……、まだ君の刑は執行されていないじゃないか…」
アリババ「刑?」
そうだ、と言ってジャミルは怯えきった目でアリババに罵声を叫んだ。
キリフォードはその様子を見て、ああ…成る程。と呆れ果てる。
『お前、実は単なる紙メンタルビビリ野郎だった訳だ?』
今まで領主に感じていた怒りが霧散していく。否、もはや怒りすら感じる価値がないと判断した。
アリババ「ここは【迷宮】だぜ?誰もが人生かけて命張る場所!!怖けりゃ家で震えてな。坊っちゃんよォ!」
二人の言葉にジャミルの堪忍袋の緒が切れ、剣を構えた。
ジャミル「下民には、実力で判らせねばならないようだな…!!」
『んな、へっぴり腰で何が実力だよ坊っちゃん。怖ぇならもう帰れや』
キリフォードが野次る。
溜まってた分の鬱憤はキチンと晴らす。
アリババ「キリ……」
溜め息混じりにアリババが呼ぶ。
アリババ「……アラジンを頼む」
『お任せを』
ニヤリと口角を上げて、キリフォードは地を蹴った。
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