マギ長編
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アリババ「しかしすげーよな〜ここ。こんなに立派な街なのに、誰もいないなんてよ〜」
アラジン「うん」
アリババ「………」
アラジン「………」
『……静かな場所だよな』
アリババ「ああ」
アラジン「うん」
アリババ「………」
アラジン「………」
再びの沈黙。
それを破ったのは、突然の彼の含み笑いの声。
アリババ「フッフッフッ、俺は良いことを思いついたぞ」
アラジン「え?なんだい?アリババくん」
アリババ「ここを、アリババパークと名付けよう!なんせ、俺が一番に発見した街だからな!」
『“アリババパーク”って語呂悪いな、おい…。略して“アリパーク”でどうだ?丁度蟻のバケモンが居たことだしな』
アリババ「い、嫌なもん思い出させるなよ!」
アリババはキリフォードに食い付くが、「いや…違うな」と改める。
アリババ「俺達三人で見つけたんだから…“アラジン・アリババ・キリフォードパーク”だな!」
『なっっがい名前付けたな!?俺の名前無しでいいだろ』
アリババ「文句言うなよ!俺が市長でアラジンが副市長。お前は街の警吏長だ!!」
『は…』
アラジン「キャー、素敵!!」
アハハ、ウフフとはしゃぐ彼らを温かい瞳で見守り、キリフォードは元来た道を振り返った。
――なぁ嬢ちゃん…。今のお前にはまだ難しい事かも知れねぇけど、心から信頼出来る人に使えるってのは、奴隷と言わないんだぜ?
恐怖感で縛られる関係に、永遠なんて無いんだ。だから嬢ちゃんもいずれ――…
アリババ「おーいキリ!なにボーッとしてんだよ。早く行くぞ!」
『あいよー!!』
その後、色々と話しながら三人は歩いた。
【迷宮】に存在するこの街の事を死者達の街(ネクロポリス)と呼び、アラジンの居たという【頑丈な部屋】の外にもあったと言う事。
実はウーゴくんには顔があり、喋れる事。そして中々のハンサムだとアラジンは自慢する。
アラジン「僕の自慢の友達だもん!」
アリババ「そっかー。お前の友達だもんなー。………」
アリババは少し俯くと、アラジンに向き直り言った。
アリババ「なー、この【迷宮】出たらさー、俺達にも紹介してくれよ。ついでにお前の事も色々な!」
アラジン「うん。いいよ」
暖かなこの二人の友人達を、キリフォードはとても眩しそうに見詰めていた。
ようやく塔の扉までたどり着いた一行。
再びアラジンによって扉が開かれると、またまた砂埃が舞った。
むせたり、くしゃみをして中に入って見ると、宝物庫とは言えぬ<物置き>のような場所だった。
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