マギ長編
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アリババ「ギャアアーーッ!!!」
『ッッ!!!』
アリババが悲鳴を上げ、キリフォードが血相を変えて地を蹴った。
『はぁぁッ!』
キリフォードがアリの化け物に向かって右から左に腕を一線すると、呆気なくアリの首が切れた。
ズルリとアラジンが解放されると、アリババが慌てて抱き起こした。
アラジン「体中が…ひんやりベトベトするよぅ…」
涙目でアラジンを介抱しているアリババの傍で、ピシリ…と何かが割れる音がした。
と共に、先程キリフォードが倒したヤツも元の姿に戻っていく。
『――っ、こいつ!!』
キリフォードは魔狼の姿になり、二人を背に乗せて次の洞窟へと走った。
みるみるアリ達から遠ざかって行くが、アリ達はキリフォードの足下に視線を送っていた。
*****
アリババ「よかった…。アリ達は追いつけねーみたいだぜ」
未だに速度を落とさないキリフォードに問い掛けるが、彼は表情を曇らせ言う。
――いや、もしかすると追い付いてくるかも知れねぇ…
へ…?アリババがそう言うと、遥か後方で数多くの足音が聞こえてきた。
背に乗った二人が振り返って見ると、先程のアリ達が追い掛けて来た。
そしてその足を見ると、アリの胴体に不釣り合いな獣の足を生やしていた。
「「ええええ!!?」」
二人は悲鳴を上げた。
しかしキリフォードが速度を落とさぬ限り、追い付かれる心配は無さそうだが……
――アリババ、これじゃただのイタチごっこだ!
アリババ「キリ…!?」
刹那キリフォードは魔狼から人に戻り、アリババ達を前方に放り出した。
アリババ「おい、キリ!どうするんだよ!」
『…こいつら、スライムみてぇに何度も再生するんだ。俺じゃ分が悪いが、やるっきゃねーだろ!』
キリフォードは両手に力を込めると、スラリと爪が伸びていく。
アリの大群に飛び込むと、獅子奮迅の如く切り刻んでいく。
が、しかし何度も再生を繰り返すアリ達。
『チッ…、埒が明かねぇ!』
キリフォードの動きを凝視していた一部のアリ達が気味の悪い声を上げたかと思えば、何やらアリ達は一ヵ所に集まっていく。
そしてそれらは1つになり、巨大な化け物となった。
その両手には鋭い爪が生えていた。
ウォォオォ――!!
猛々しい雄叫びを上げると、化け物は爪を一線。
途端地面が真っ二つに割けた。
『ッッ!面倒臭せぇ事になりやがって!!』
キリフォードの瞳が赤くなる。
アラジン「スゥゥ…、――ウーゴくん!!」
ピ―――ッッ
アラジンが笛を吹くと、ウーゴくんが現れ、化け物に対抗し始める。
ウーゴくんは化け物の攻撃を難なく避け、反撃する姿から優勢に見えた。
アリババ「いける!これなら全然負けてねーぜ!!」
戦いに巻き込まれぬようアリババの元に戻ったキリフォード。
しかし彼は、ウーゴくんに乗ったアラジンの様子がおかしいと見て、ウーゴくんに飛び乗った。
『アラジン、大丈夫か!? 顔色が良くねぇみてぇだが…』
アラジン「大丈夫だよ…、絶対【宝物庫】まで行くんだから…」
息を整えながら、アラジンは続ける。
アラジン「もう、“奥の手”を使うっきゃないよね……!!」
今まで以上に笛に息を吹き込むと、ウーゴくんの両手が赤く輝き出した。
そしてウーゴくんはその両手を化け物にぶつけた。
すると光に包まれたかと思えば、一瞬にして地面に大穴が開き、化け物は焦げてしまった。
それを確認したアリババは高潮した声でアラジンを褒め称えた。
アラジン「フフ…、ウーゴくんは強いでしょ?」
笑みを浮かべて答えるが、明らかにアラジンは具合が悪かった。
そんなアラジンに背後から迫る影があった。
間を置かずして、その影によって気を失わされたアラジンは地面にうつ伏せた。
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