マギ長編
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アリババ「…お前、さっきからやたら突っ掛かってくるな」
『いや、あんたの愛想笑いが面白くて』
アリババ「その顔やめろ、すっげぇ腹立つ」
相変わらずニヤニヤとした笑みを浮かべる青年に、アリババは目を細め睨む。
アラジン「お兄さん達は知り合いなのかい?」
『ああ、そうだぜ』
可愛らしく首を傾げるアラジンに、青年は頭を撫でながら答えた。
『俺はキリフォード、キリで良いぜ』
アラジン「僕はアラジンだよ」
『俺はそこの運転手、アリババに雇われた用心棒みたいなもんだ』
アラジン「へぇ、お兄さんは強いんだね?」
『まぁな。…けど、正直全く仕事が無くてな。もはやタダ乗り状態だ』
今度は苦笑いをして見せる青年事、キリフォード。
するとわざとらしく「フン…」と声を出し、ブーデルがキリフォードを一瞥する。
「貧乏人に使われるなど、所詮大した腕では無いのであろう?なら、せめても静かに出来んのか?」
刹那、灼熱の砂漠には似付かわぬ冷ややかな空気が流れた。
『――いや〜、そうっスね。俺なんか実は油虫も殺せないんスよ』
犬歯を覗かせ、無邪気にキリフォードは笑った。
心無しか、アリババはとても安心したように息を吐いた。
しかしそれも束の間。
アラジン「おじさん……。おじさんはどうして男の人なのに…おっぱいがついているんだい?」
アリババ「――わあぁぁぁッ!」
コラァァァ!!と叫び、強引にアラジンの頭を下げさせる。
気にしていた事を言われたブーデルは肩を震わせ、怒鳴り散らした。
キリフォードに至っては、腹を抱えて笑っていた。
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「馬鹿野郎!!」
文字通りのオアシスにて、アリババの悲鳴にも聞こえる怒鳴り声が響いた。
彼の腕にはジタバタと焦るアラジンがいた。キリフォードは木に背を預け、それを見守っていた。
「運転手、いつまで休憩させる気だ〜っ!」
アリババ「はい、ただ今〜〜!
――今度舐めたマネしたらぶっ殺すぞ!」
やっとアリババから解放されたアラジンは大量の冷や汗を流していた。
そんな彼を手招くと、アラジンに向かって親指を立てた。
『ナイスだったぜアラジン!』
アラジン「???」
また思い出したのか、含み笑いをしながらアラジンを讃えた。
アリババ「キリーーッ!!お前もだからな!」
『ブハッ!な、怒ったアリババ恐いだろ?』
アラジン「う、うん…」
少しビクつきながら、アラジンも賛同した。
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