give&take

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ある日の放課後。
雷門中では次の試合に向けての練習に勢を出していた。




陽太「天馬、こっちだ!」


天馬「はいっ、不動先輩!」


陽太は松風からパスを受け、相手のゴールに攻め込む。



倉間「行かせるかよ!」



神童「不動!一茶にパスだ!」


陽太「――双羅君!!」


陽太のパスは綺麗な弧を描き、一茶の一歩先に落下した。



そしてそのまま、一茶は幾度のマークを躱し、ゴールネットを揺らした。





輝「ナイスシュートでしたよ、一茶さん!」


一茶「輝、ありがとう」


区切りよく着いた所で、休憩となった。





天馬「あ、そうだ一茶、輝。二人にはまだ紹介してなかったよね?」

そう言うと、松風は陽太の下に二人を誘った。


二人は松風に付いていくが、次第に一茶の表情が曇っていき…陽太の前にいくと、顔を強張らせた。




一茶(で、でか…っ!)


天馬「不動先輩。この二人が一茶と輝です!二人ともすごいんですよー?」

どうすごいのかと語り始める松風を止めるべく、陽太は口を開いた。



陽太「双羅君、影山君。初めまして。オレは不動陽太。ポジションはMFだ。さっきの動き、すごくよかったよ!」

毒気の無い無邪気な笑みに、緊張していた影山は安堵を吐いた。


影山「影山輝です!気軽に、輝で良いですよ」


一茶「双羅一茶です。よろしくお願いします、陽太さん」


そう言って一茶は陽太の後ろに視線を向け、呟く。


一茶「マリアも、よろしく」


陽太「え…?オレの化身…解るの?」


一茶「はい【聖母マリア】ですよね?彼女、とても優しいんですね。あなたをいつも気にかけてます…」



陽太「……他に、何か言ってる?」


一茶「え?……えっと、『自分だけで抱え込まず、無理しないで…』って言ってます」


陽太「抱え込まず…か。ありがとう…一茶。マリアの声を教えてくれて」

再び笑みを浮かべる陽太。
しかし今度の笑い方は、何処か悲しそうにも見えた。









一茶か…。昴さんが言った通り、化身やサッカーに愛されている。

だからこそ、サッカーを支配しているフィフスセクターやシードを嫌っている……。


なら、オレは……?
今は大丈夫でも、いつかはバレてしまう。
その時、みんなはオレをどう思うんだろう…。






一茶「……陽太さん?」


陽太「何でもない!さぁ、そろそろ休憩が終わるから、監督達の所に行こうか!」


元気よく駆け出し、陽太が通り過ぎると、優しげな声が聞こえた。





――この子が、どんな事を隠していても、貴方だけは、許してあげて……?





一茶はその意味が解らなかったが、後に知ることとなった。

陽太は神風や自分達と同じぐらいサッカーが大好きで、今のサッカーに傷付けられていたんだと……。













陽太の認識
「真っ直ぐで揺るぎのない目を持った子。誰よりも強くて、誰よりも弱い…と思うんだ」





→千さんへ
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