give&take
□千さんから
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「神風さん…なんであの時手を引っ込めたんだろう…」
「陽太の事あんなに好きなのに…」
昴の行動が少し気になっているイレブン
それに同行していた響木が昴が入院した日の事を思い出していた…
──────────
「神風くん………残念ながら、もうサッカーは出来ないかもしれない…」
「!?」
「え?」
「君の病気は思っていたより深刻なんだ…」
「もう…サッカーが、出来ない?」
「ただ、一つだけ…手術を受ければ…だけどそれにはリスクが…」
「……失敗すれば死んじゃうんですか?」
「…そうだ。だからサッカーは諦めて…」
「嫌です!!!!!」
滅多に大声を出す事の無い昴が大声を出す
「神風…」
この行動には響木も驚いた
「嫌ですよ、そんなの…僕はサッカーがしたい、手術を受けたい!」
「もしかすると、死んじゃうかもしれないんだよ?」
「サッカーが出来ないなら、死んだ方がマシです」
なんて奴だ…響木は昴を見てそう思った。
誰よりもサッカーが好きな男、10年に一人の天才…昴はそう呼ばれている…しかしこの仕打ちはあまりにも酷い
だが、昴は一度も屈しない。死を恐れず手術がしたいと言っている
「お願いします!」
「わかった…。神風くん…手術が終わるまで誰かに触ったり、触られては駄目だ」
「え?」
「その病気が移るかもしれない、いいね?」
「はい」
──────────
だからあの時昴は手を引っ込めたのだ
(神風…)
「はやく、かみかぜさんとサッカーがしたいです!」
「陽太…」
「かみかぜさんのサッカーだいすきです!」
「そうだな…」
「ふどうさんもすきです?」
「あの人には負けてばっかりだしな…」
「本当だな…早くあの人を超えてみたい!」
「よし!帰って特訓だー!」
「「「オォー!!」」」
(神風、お前は誰よりも恐れられているのに…誰よりも必要とされているな…)
(先生、ご飯足りないです)(神風くん、これで何人前かな?)(10人前ですね…あ、七味かけていいですか?)(キミ本当に病人?)