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□第二話
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―――--……‥
―--…‥
まっくろな おソラから、あめがポツポツふってきた。
――ここは……?
「……ヨウタ」
――おかあ…さん?
「……仕方がないの、…こうするしかないの。解ってくれるわよね、ヨウタ…?」
――? どうしたの、おかあさん。どうしてそんなカオしてるの?
ピカァ…ッ
『Σ(ビクッ)……ぅ、うぇぇえん…』
……お…かあさん、ゴロゴロさんが鳴ってるよ?
「…………」
…ねぇ、おウチに早くかえろ?
「…………」
おかあさん…?今日のおかあさん、なんかヘンだよ?
「……それじゃあね、ヨウタ」
おかあ…さん?どこいくの?
ボクをおいていかないで…!!
おかあさんはボクがぬれないように、カサをおいてってくれた。
……おかあさん!カサなんていらない!
おかあさん、ボクもいっしょにつれてってよ!
―――--……‥
―--…‥
--…
……あぁ、そっか。
これは…あの日のボクだ。
『うぇぇえん…――』
ずっとずっと…お月さまを7かいぐらい見た。
それくらいボクは、なきつづけてた。
8かい目のお月さまを見たころに、ボクはなかなくなった。
こえが、なみだが、出なくなった。
―――--……‥
―--…‥
もう、なんかい、お月さまを見たのかわからない。
――おなかすいたよ…、のどがかわいたよ…、さみしい…、さむい…、こわい…、
――あいたいよ、おかあさん…
キラッ……
――?
まっくらだった目のまえに、ひとりのお兄ちゃんが出てきた。
――だぁれ?お兄ちゃん…。
カオが見えない…。
でも、わらってる…。
やさしい、やさしい、わらい方。
..
「――陽太!」
『――!』
あったかい……。
お兄ちゃんは手を、ボクの手をひいて、ヒカリの中へつれてってくれた。
あったかい手…。
ボク……、
この手をしってる気がする…。
……クルマにぶつかりそうになったとき、ボクをひっぱってくれた手だ。
ボクのココロにふっていた あめは、いつのまにか、ヒラヒラとゆきになってた。
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