ねえ、にしくん
□医者のなりそこない
1ページ/4ページ
人を救う、それはとても難しい
それでも、人を助ける存在でありたい
そう想う気持ちは誰よりも強い自信がある
けれど、現実はそう甘くない
『.......医者ってハードル高いなあ、』
知らなかった訳では無い
死ぬほど努力したその後だから
流姉も浬くんも手に入れた医者という立場、または役職。
私は残念ながら手に入れることは出来なかった。そこまでの実力がないってことだから。
『医者にこそなれなかったけど、看護師だって立派な人を助ける仕事。気合い入れ直して、精一杯努力するぞ!!よし!!』
声に出すとやる気が増す
いつもそうやって自分を奮い立たせてきた
無事、国試で看護資格を取って晴れて日浦総合病院で看護師として働くことになった
ちゃんと流姉に伝えてあるし、きっと浬くんにも伝わってる、、はず、、
今日は、浬くんがいる循環器内科での研修。
ちゃんと天堂先生って呼ぶ、、間違えない、、
念じながら歩いてたら、正面から歩いてきた人にぶつかった
『す、すみません!!』
「え、あ、すみません!!怪我.......ないですか?」
『だ、だいじょぶ、です。』
これが仁志くんとの初めまして。
「あれ、仁志くんどうしたの?」
「あぁ、佐倉。考え事してたら、この子にぶつかっちゃって.......」
「あれ、もしかして今日から循環器内科に研修の?」
『あ、はい。そうです。』
「同期だし、敬語じゃなくていいよ。私、佐倉七瀬。」
『さっき、浬くんじゃなかった天堂先生に告白してた.......』
「あ、あぁ、その件は、お騒がせしました。」
『いえ、あ、ごめんなさい。名前言うの忘れてて、天堂綾です。よろしくお願いします。』
「よろしくお願いします!.......ん?天堂?」
『行こう。佐倉さん。』
「う、うん!!」
.