私とバスケ部
□私と泰蔵
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「「「お疲れ様っした!!」」」
バスケ部の終わった体育館では、各自が片付けに勤しんでいた
『泰蔵ー!お疲れー!』
その体育館の前を通ったあたしは1番近くにいた泰蔵に声を掛けた
「お、綾じゃん。どした?」
『どしたって日直だよ、日直。超面倒な事務仕事終わらせて提出してきたの。』
「お前だけ?」
『んなわけなかろう。もう1人いたけど、先に帰ったの。信じらんないよね。』
「恵一か?」
『大正解。バスケ部にいたら絞めようかと思ったけど、こういう時に限っていないんだよね。』
「まぁ、あー見えて勘冴えてるしな。」
『…勉強以外でね。』
「それな。どーだ?軽く打つか?」
『そんなバッティングみたいなノリで言わないでよ。まぁ、一発かましたいところだからやるけど。』
「そのノリの良さ、変わんねーな…っと。」
『ノリの良さだけが取り柄なので。よっと!』
ガコン
「ナイッシュー!」
『ふぅ…スッキリ!よし、帰ろうかな。』
「お前も恵一と同じで運動は馬鹿みたいに出来るのに、部活には入んねーのな。」
『高校くらいは自由に生きたいの。部活も悪くないんだけど、1つに縛られるよりかはフリーダムでいたいって言うの?そんな感じかな。』
「何もプレイヤーに回る必要はないだろ。マネージャーだってあるし。」
『あ…、それは考えてなかった。』
「抜けてるのも変わらず、か。」
『うるさいよ。あたしは今のままがいいの。』
「へいへい…。」
「お前らー!体育館閉めるぞー!」
「ッス、今行きます!綾、帰るぞ。鞄は?」
『そこ。出たとこにあるよ。』
「俺、今日チャリなんだ。乗ってくか?」
『乗せてくれるなら乗る。』
「OK、今取ってくる。」
『了解ー、正門とこにいるね。』
「おうよ!」
泰蔵と1度別れて、泰蔵の早着替え後自転車取ってくるのを待ってたらバスケ部の先輩面子に絡まれた
「泰蔵と藤咲って付き合ってんの?」
『今は付き合ってないです。』
「それなのに、あんなに仲良いの?」
『私、元彼女なので気を許してるんじゃないですかね?』
「元カノに優しいの?やるな、泰蔵。」
先輩たちと喋ってれば、当然来る泰蔵
「お待たせ。って、アレ?先輩たち何してるんすか?」
「見りゃ分かるだろ。藤咲ちゃんナンパしてたんだよ。」
「やめてくださいよ、そういう冗談。コイツ、一応好きな奴いるんですから。」
泰蔵はこれだから困る
好きな人がいるあたしのこと、ずっと前から知ってるくせに今も昔も気にかけてくれるどころかこんなにも優しい
あたし、元彼女なんだけどな…
堪らなくなって、泰蔵の背中を叩けば何?と振り向いた
『惚れるだろ…ばか。』
「ん?何?」
『何でもない…。』
鞄を前カゴに預けて、泰蔵の後ろに乗ると先輩方に会釈をして出発した
「惚れてもいいぞ。」
『…え?』
「さっき惚れるだろって言ってたろ?惚れてくれてもいいけど?」
『は?!聞いてたの?!最悪!』
「最悪とは何だ。聞こえたんだよ。」
『恵が幼馴染みじゃなかったら違うんだろうな…、好きになった人。』
「そうだな、俺にも可能性あったかもな。」
『今は意味が違う好きだけど。1度は本気で好きになった人だから、泰蔵には無理してでも幸せになってもらいたいし。故に、彼女作れ!』
「んな無茶な…。」
『あたしが思うに、泰蔵は見るところが狭いんだよ。だから、視界を広げれば出来る!例えば千葉ちゃんとか!どう??』
「どうって言われても……。」
『考え方似てるし、運動脳だし。付き合いやすいと思うけど……。』
「確かに、他の女子よりかは話しやすいかもな。」
『でしょー?それに、2人とも私の大好きな人だからお互いにオススメできる。』
「それ関係ある?か?」
『割と?2人とも優しいし、2人ともかっこいいし?いっぱい出てくるよ?』
「まだ惚れてるとか言わねーだろうな。」
『さっきはああ言ったけど私がまだ惚れてたら、困っちゃうでしょ?泰蔵。もう、泰蔵をあんなことに巻き込みたくない。でも、一緒にいたらそうなりかねない。だから、友達同士でしか話せない。分かってくれるよね……?』
「分かってる……。」
ーー………………
少し、沈黙が走った後……
『ごめん、変な事言った。』
あたしがその沈黙を破った
「別に……」
『でも、あの時…本当に1番大好きだったし。恵よりも泰蔵だったの。これは、本当。信じてね。』
「あぁ、」
『だから、1番最初に浮かんだ顔も助けて欲しかった相手も泰蔵だった。助けてって言った瞬間、泰蔵の顔が浮かんで。気付いた時には、目の前に泰蔵の顔があって。大好きだなぁって、そう思えたの。それが、一生変わることはないの。』
「綾、大袈裟……」
『大袈裟なんかじゃないよ。大好きだから幸せになって欲しいの。好きな人出来たら、1番に教えてね。泰蔵。』
「おぅ、」
話し込んでいたら、いつの間にか着いた自宅
『送ってくれて、ありがと。』
「恵一と魁斗によろしくな。」
『うん。わかった。気を付けてね、また明日学校で。』
「あぁ、また明日な。」
一言二言、伝えると闇に消える自転車を見送って家の中に入った
やっぱり、泰蔵の隣(後ろ)は安心するなぁと感じた帰り道でした
おまけ
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