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□寒い、冬の日に
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12月初旬、

ただえさえ寒い日なのに、
今日は雨も降ってきた。




「余計にさみぃじゃねぇか…」


練習も天気のために早く終わったので車へ向かう。



そういえば、今日山田は買い物行くっつってたな。




もう帰ってくる時間だろうから、駅に迎えに行こうと、
家とは反対方向の駅へ車を発進させた。






帰宅ラッシュなのか、

人が多い。



「もう帰ったか・・・」




雨も降ってるし、寒いし、


きっとバスかなにかで帰っただろうろうと思って、
駅を出た。





駅から山田と俺が同棲しているマンションまでは、
大通りを行くだけで着く。





大通りを走り始めて数分、


雨の中、楽しそうに歩く人を見つけた。




(あの傘・・・・・)





マリン風な傘に見覚えがあった。




車を歩道に寄せて止めた。



「山田」



「わ!堺さん!」



やっぱり、山田だった。




「乗れよ、さみぃだろ。」



「うーん、じゃあ乗せてもらう。」



山田を助手席に乗せて、
再び家へ向けて車を発進させた。



「バスとかタクシーは無かったのか?」



「あったけどー、新しい傘使いたかったから!」


堺さんから貰ったヤツ!



あぁ、そんなことだろうと思った。




「はぁ・・・風邪とかひいたら困るだろうが。」



「うん、まぁそうなんだけど・・・

 でも、堺さんもよく私のこと分かったね!」





「そりゃあ・・・・・・」





   『これくれるの!?』



   『あぁ、傘壊れたって言ってただろ?』



   『うん!嬉しいーー!!!
    早く使いたいっ』











「・・・・・・今日何食べたいんだ?」



「あったかいの!」



「さむかったんじゃねぇか、
じゃ買い物してって鍋にするか。」



「うん!」






あんなに喜んでくれたお前を見たら、




寒い、雨の日に



意識しなくても見つけられる。





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