*ショートストーリー

□君のために。
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オレの中でヒロトは、




誰より真っ直ぐで、
透き通った笑顔で笑っていた。







結局はオレの思い込みだったのだろう。



ヒロトにとっての表情は



《作る》



ものだから。





泣き顔も、
あの困ったような顔も、
オレだけに見せてくれた、
優しい顔も全部。


全部作られた、


彼の《仮面》。



よく見れば、
あんなに皆が大好きで、
完璧だった笑顔も。


瞳は濁り、歪んでいるようだった。




何が彼をそうしたのかは
分からない。
いつからなのかも分からない。





でも、






とっくに消えたであろう
彼の本当の笑顔を、



それでも、取り戻したいと。





オレは今日も願っています。





オレには願う事しか出来ないよ。




だから、せめて、
少しでも早く。




ヒロトの笑顔を迎えられる
ように。




ヒロトの笑顔を
オレが、最高の笑顔で迎えられる
ように。





オレは今日も笑い続けます。
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