頑張れ大石くん
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ちょっと待って、大石くんってあの大石くんだよね!?大石くんって大石くんしか知らないし大石くん以外の誰でもないよね!って、私何言ってるの!?
『お、落ち着け…すー、はー…すー、はー…』
「深呼吸?」
『なんでもない、気にしないで越前くん』
本当鋭い子。…隣に座ってるから聞こえちゃったかな。ああ、どうしてこんなに心臓がドキドキいってるの?まさか、聞こえてないよね…?
「…先輩?」
『な、なに…?』
「どうかしたの?」
『…ん?』
不思議そうに見つめてくる越前くん。私はいたって普通だ!と言いたいけど何か不自然かな?
『私、おかしいかな?』
「あ、いや、別にそういうんじゃ…」
『私のことは気にしなくていいんだよ、越前くん…』
わしゃわしゃと頭を撫でてやると越前くんは、わっ、と言って少し頬を赤めた。……かわいい。
「あー!おチビズルいぞ!七海、俺にもナデナデしてにゃ」
「頼んでやってもらったわけじゃないっスよ!///」
『そうだよ、菊丸くん。でもその可愛さに免じてナデナデしてあげるにゃ』
「露月先輩っ、『にゃ』は反則っスよ!」
「あービックリした…あまりの可愛さに心臓爆発するかと思った…」
『ごめんごめん。ほら菊丸くん、ナデナデしてあげる』
「エヘヘっ///」
ナデナデ…
わ…髪サラサラしてる。気持ちいい。なんか猫みたいだなぁ。
「〜〜〜〜っ!?///」
「大石先輩…?」
「え、大石がどうかした?」
『ん?』
視線を菊丸くんの後ろにやると、真っ赤な顔をした大石くんがわなわなとこちらを見ていた。
大石くんに視線を向けたため、お互いに見つめ合う形になってしまった。
そこで、はっと気付く。
私の手はまだ菊丸くんの頭にある。まさか、撫でていたところを見られた!?
『あっ…、ち、違うの!これは…』
「え、…あっ…う、うん」
咄嗟に手を引っ込め視線を下に落とす。言い訳を考えようとするが、何の言い訳も出てこない。むしろ言い訳をした方が怪しまれるんじゃないだろうか。
意を決して再び視線を上げる。…が、目が合ったその瞬間ぷいっと逸らされた。
『あっ…』
はっきりとは見えなかったが、大石くんは少し切なそうな目をしていた。