舞蝶

□保章
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「お前が来てくれなかったら…雛森は死んでた。…ありがとう、松本」
「…いえ……それより」



紅蓮亜は今四番隊の集中治療室にいる。
あの後、雛森を松本に任せて紅蓮亜の元に向かった。
俺が到着したころには紅蓮亜の周りは血の海で意識がない状態だった。
紅蓮亜を見た直後に自分がどうしたかは正直覚えていない。
ただ、気付いたら紅蓮亜を抱えて四番隊の隊舎に駆け込んでいた。
卯ノ花の診断が出るまで治療室から離れられなかった。
白い羽織があいつの血で真っ赤に染まっていた。
血を浴びた死覇装を着替えてこいと言われた気がするが、そんなことしている時間さえも惜しかった。
ただ、一秒でも速く無事を確認したかった。



卯ノ花によると内臓を破壊されていたらしい。
鬼道で何とか一命は取り留めたが意識が戻るかは五分五分だと言われた。
腕に無数に繋がれたチューブが痛々しい。



「俺が…もっと気にかけてやってれば」
「隊長のせいじゃ…!」



松本が言葉を詰まらせた。
そんなに俺はひどい顔をしていたのだろうか。



"隊長並びに副隊長各位にご報告申し上げます"



どこからか地獄蝶が飛んできた。
朽木ルキアの処刑の日程が変更になったらしい。



"最終的な刑の執行は…現在より29時間後です"



報告を最後まで聞かずに俺は飛び出していた。



「ついてこい松下、処刑を止めるぞ」



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