短編

□Incontro〜Gemelli〜
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双子は焦っていた。
屋上で寝ていたら読んでいた雑誌がカラスに悪戯されて地上に落下したのだ。



カ「信じらんないカラスの野郎!!!」
サ「人のものに手…つうか足出してんじゃねえよ。つか…」
カ/サ「雑誌どこー!!?」











数十分前




中庭にいた私はかなり厄日みたいだ。
上でカラスが騒いでるようだったので様子を見ようと空を見上げるとなんとスポーツ雑誌が降ってきたのだ。
まぁ糞じゃなくてよかったけど。



『―…ったぁ…。何これ』



雑誌を一枚めくると一面に見慣れたはずの顔が。
右隅には黄色い付箋が貼られている。



『誰よ、こんな趣味の悪いのチェックした奴』



青と黒のストライプ柄のユニフォームを身にまとったいけ好かない日本人男性。
髪は赤茶でムカつくくらい様になってる。
普段のアホさからは想像できない姿だ。



『畜生…お前のせいだかんな』
カ「おい貴様!!」
サ「人のもん覗いてんじゃねえよ」



振り返ると息を切らして双子が立っていた。
どうやらこの雑誌は双子のものらしい。



『これ二人の?痛かったんだけど』
カ「知らねえよ」
サ「それよりあんた、あたしらの秘密知ってただですむと思うなよ」



そういってサリーナ(たぶん)は私の後ろに回り両腕を拘束した。
カリーナ(たぶん)が指を鳴らしながら近寄ってくる。
あぁ、あれか。
いたぶられんのか。



カ「覚悟、出来てんだろうな」
『あんたたちさ、雑誌の人、好きなの?』
カ「はぁ!?」
『付箋張るくらいだし気になってんのは確かだよね。あの人日本人でしょ?サッカー選手。好きなの、サッカー?』
サ「あたしらが誰を好きでも関係ねえだろ!!」
『関係あるんだなぁ、これが。雑誌のその人の名前知ってる?アキヒコって書いてあると思うんだけど…問題はその次』
カ/サ「はぁ!!!??」
『私の名前は真中優梨亜。で、その人は最近イタリアの某サッカーチームに移籍したいい歳のおっさん。名前は真中明彦。つまりマイダディ☆』
カ/サ「……」
『髪の色とか容姿諸々そっくりでしょ?私お父さん似なんだよねぇ。…で、いい加減離してくれるかなぁ?』



容易に拘束は解けた。



『放心状態のところ悪いんだけど、私に協力してくれない?実はサッカーチーム作りたくてさ。私は一応オールグラウンダーだから何処でもできるんだけどどっちにしろ11人いないとサッカーにならないでしょ?そこで、あなたたち二人に私が作るチームに入ってほしいのよ。勿論ユニフォームとかチーム名とか最初から決めなきゃだから大変なんだけどまぁどうってことないだろうし。ついでに他のメンバー探しも手伝って欲しかったりなんかしちゃったりして…聞いてる?』



はっ



そう効果音をつけてもいいだろう。
勢いよく顔を上げた二人はすごい勢いで睨んだ。
私を。



カ「あんた舐めてんの?」
サ「あたしら一応喧嘩強いよ?適うわけ?あんた」
『仕方ないなぁ…相手してあげるよ。勝ったら言うこと聞いてね』
カ/サ「上等だぁ!!!」




ドカッ
ゴツッ
ドン



『はい私の勝ち。ってことで、私に従ってね二人とも☆』



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