天使のつばさ

□LESSON.4
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放課後



あまり人に囲まれるのは好きじゃないんだけど、仕方なく3年生の教室まで来た。
周りの女子は翼の女装だと呟いているのが丸聞こえだからやめなさい。
そもそもは翼の提案だった。
お弁当箱を持っていなかった私は帰りに雑貨屋に寄ってくると言ったのだが、翼がダメだときかなかった。
その理由が自分が女装して歩いていると勘違いされるからだそうだ。
と、いうことで今日から約一週間くらい3年の教室から2人そろって歩き周りの誤解を解くらしい。
まどろっこしい。
翼は今後の“双子疑惑”についてどうするつもりなんだろうか。



『翼ぁ!!』
翼「ん?あぁ、郁美か。こっち来いよ」
『えっ!?何で、帰ろうよ』
翼「そのうち柾輝たちも来るから」
『…いや、人の話聞こうか』



とにかく仕方ないから翼の席に行くことに。
そこにはやはりというべきかお猿と五助の姿が。
そういえば私お猿とまともに喋ったこと無いんじゃないかしらw



直「遅いやんけ翼2号」
翼「…誰が俺の2号なんだよ」
『…五月蠅いよ猿』
直「……すんません」
六「…怖っw…郁美、外騒がしくなってんぞ」
柾「郁美お前先行くなよ」
『あ、ごめん…帰ろうとしてたんだけど』
直「……」
五「郁美は翼が行かねえと帰れないんだよなw」
『お弁当箱買ってこないと毎日パンだからね。早く帰りたいかもしれない』
翼「金持って来てんの?」



あれ…?
鞄を探る。
ない。
いやいやそんなはずないじゃん。
朝入れ…たっけ?



『忘れたかも』
翼「仕方ないから買ってやるよ」
『え、いいの?』
翼「その代り、毎日サッカー部の練習来いよ」
『何で』
翼「フラット3。練習中なんだよね。プロから見てアドバイスしてよ」
『アマチュアだけどいいよ。だから帰ろう』
翼「決まり。じゃあ明日までにこれ書いて提出しとけよ。お前らもいいよな??よし帰ろう」



そのあと翼は涼しい顔して本当に買ってくれた。
満足そうな笑みでした。後日談。
朝私の鞄から財布を抜いたのは彼でした。



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