おはなし

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「もともと、マリアが好きなだけのお母さんだったんでしょうがねぇ」


アリスが不思議そうに言った。
確かに、それがどうしてあんなことになったのかは気になるところだ。



「………お母様はある日突然、あんな感じになったんだ」



「白雪!起きたんだな……っつ」

「迂闊に動くな馬鹿!広がるだろ傷口が」


マリアはスペアを寝かせると、椅子に座り直した。

「お、起こしちゃいました?」

「あぁ、いや気にするな」


いつものようにニコリと笑うと話を続けた。
はじめて本当の笑顔を見たかもしれない、と和は何処かで考える。


「それまでは何処にでもいそうな、いい母親だった。少し甘やかされたが。
ただ、ある日を境に、お母様の様子が変わった。」

「ある日?」


「詳しくは私も覚えてはいないんだ。何せ街にいっていた日だったからな。
それでも初期の頃は、まだ愛情が行きすぎた位で済んでいた。」


「それが、あんなことに?」


「多分、操られていたのですね」


アリスが深刻な表情で言った。


「あやつ…?」


「何かに取り憑かれていたと言っても構わないかもしれません。

一番事が酷かった部分の記憶だけ抜け落ちているのが証拠です」


「やはり赤の女王か?」


「まだ何とも言えませんが可能性はあります」


アリスは目を伏せ、
言った。



「彼女は、私を消した上で他の国を手に入れるのを目標としているはずですから」
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