おはなし
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和は先程の二人の言葉を頭で何度も繰り返しながら、ただ機械的に手に持った箒を動かしていた。
助けられた礼としての庭掃除はそろそろ終わりそうだった。
「さて、と」
少し日が傾きかけたとき息をついたら、遠くから楽しげな歌声が聞こえた。
その方向を凝視していたら、小さな影がこちらに歩いてきた。
「ま、マリアさんあれっ!」
窓からマリアに飛びかからんばかりの勢いで呼び掛けたら、「あぁ、」とおかしそうに微笑んだ。
「あれは小人だよ。
この家の本来の持ち主だ」
「小人さん方、帰っていらっしゃったんですか?」
アリスが鍋の中身を混ぜながら嬉しそうにこちらを向いた。
影は全部で七つあった。
そしてどれだけ近づいてきても、サイズは小さかった。
「お、白雪がいる」「アリスもいるぞ」「マリアもアリスも元からいただろ」「誰だ、あの子は」「不思議な服を来ている」「誰だ、誰だ?」「白雪!ただいま!」
「騒々しいなぁ…」
「マリアさん……」
まあでも、とマリアはにこりと笑った。
「おかえり、小人たち」