おはなし
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人の動く気配を感じて瞼を上げた。
自分の目が最初に写したのは、見覚えのない天井。
重い身体を起こすと同時に近くから柔らかい声がした。
「あ、目が覚めたんですね?よかった…」
柔らかな金髪をもった、可愛らしい少女だった。
不思議な服を来ている。
「森で倒れていたんです。
怪我はしてないみたいなので運んでもらったんですけど…」
「あ、…ありがとう。あの、あなたは」
少女は美しい青の瞳を丸くして、あっ、と声をあげると、
すいません、と謝った。
「私はアリスといいます。」
「アリス…」
何てファンタジックな名前だ。
「私は和。なごみ、でいいから」
「ナゴミ、ですね?じゃあ私もアリスでいいです」
花が咲くように笑った少女は、慌ただしく部屋の出入り口へと向かった。
「マリア、女の子の目が覚めました!」
呼び掛けるとどこからか、わかった、という凛とした声が聴こえた。
そして現れた女性は、
とても美しかった。