おはなし
□はじまりはじまり。
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「和、和…なーごーみー!!!」
夕日に染まる教室で眠り込む女生徒が一人。
机に突っ伏し、目を覚ます様子はない。
彼女はもう一度、眠る女生徒を揺さぶりながら声をかけた。
「なーごーみーっ!!!!!!!!!!」
そこまでされてやっと、
和と呼ばれた女生徒は小さな吐息と共に目を覚ました。
「なに……」
「なにじゃない!もう放課後よ?いつまで寝てんの幽霊部員」
「……えっ放課後……?」
だからそう言ってんじゃん、と
和の額をつつく。
「和、私部活行くけど」
「今日は行かない」
「…"も"だね、今日"も"。たまには来なよ?じゃあね」
「ん。」
友人が出ていくのを眺めてから数分、和はゆっくりと帰り支度を始めた。
「んーっ…どーしよ、何処行こう」
なら部活に行けよとか声が聞こえてきそうだが知らない。
和が行きたいのは何処かであって部活ではない!
……らしい。
(でもまあ…いい加減たまには顔出さなきゃなぁ…)
「…?何だろう、あそこ」
今まであんな店無かった、筈。
小さな雑貨屋のようなそこに、和は何かに引かれるようにそこに入っていった。