戦場を駆る悪魔の物語-運命編-
□PHASE6:血に染まる海
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連合がプラントに宣戦布告し、プラントへの核攻撃作戦が失敗して一週間もしないころ
オーブに停泊していたミネルバは出港を余儀なくされていた
「ふっざけんじゃないわよ!まだ補給とか不完全なのにいきなり出港なんて、これじゃ追放と変わんないじゃない!」
レクリエーションルームでレナはシン達に大声で愚痴っていた
「……なこと言われたって一兵卒の私達にはどうすることも……」
苦笑いを浮かべながらレナを宥めようとするルナマリアだが効果はない
「それに、もう出港してしまっている現状ではどうしようもない。カーペンタリアまで敵に出くわさないことを祈るしかないな」
冷静に現状を伝えるレイ
「そんなもんだよ。結局オーブって国は、自分達が安全であれば、他がどうなろうと知ったこっちゃないんだ」
怒りを隠そうともしないシン
だが彼等は知らない。この出港自体が連合が張った罠であるということを
同じ頃、シュウキは郊外の山でオーブを出る準備を進めていた
(大西洋連邦にオーブが喰われるのも時間の問題。開戦前に中立国同盟の技術者達を宇宙に送ることには成功したがアブソリュートは間に合わなかったか)
シュウキはアブソリュートを積んであるトレーラーに視線を移す。ぱっと見は只のトレーラーにしか見えないが内部にはMS一機を余裕でしまえるスペースがある
(ミネルバは今孤立している。ファントムペインが仕掛けるなら今しかない。精々囮になってくれ)
そしてシュウキはトレーラーを発進させた
そして囮であるミネルバにはシュウキの予想通り大西洋連邦が食いついていた
「まさか領海ギリギリで待ち伏せてくるなんて……」
タリアは艦長席の手すりを握り締める
「後方にも艦有り!オーブ軍が海上封鎖を開始しました!」
「やはりグルだったようね」
大西洋連邦の艦隊が接近しているとはいえ海上封鎖が速過ぎる
これは明らかに大西洋連邦とオーブ軍が手を組んでいると言っているようなものだ
「とにかくこのままでは挟み撃ちにされるわ。艦橋遮蔽、コンディションレッド発令。対MS戦闘用意」
タリアは連合艦隊を突破する道を選んだ