夜の月に光し刃
□序章 始まり…
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今は明治。
俺が人斬り…いや碧狼、碧き豹と呼ばれたのは昔の事だ。
…いや…正しく言えばそれほど前ではないか…
10年程前の事だ。
…だが、時代や人が変わるには十分すぎる時間だ。
人々はその時代を幕末と呼ぶ。
その時代には、“人斬り抜刀斎”と言うやつがいた。
そいつと俺は背中を預けあう仲。
…だが、時代は変わった。
侍は刀を捨てた。
世の中は刀を持つことを禁止した。
“警察”というものができ、争いは明らかに減った。
だが、力のある奴は弱い奴を従える。
弱い奴は力のある奴には逆らえない。
変わりゆく時代の中で決して変わらないものがある。
…俺も同じだ。
侍は刀を捨てたが、俺は刀を捨てられずにいる。
人斬りの名を今だに持っている。
そして俺は今、“人斬り抜刀斎”を探し、旅をしている。
剣心。
あの日の約束を覚えているか?