高校生の日常と…

□第1話 始まり…
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―――――――


「またテメェはそうやって 薄着しやがって…」

「これ着てろ!」

『トシ兄…』


投げつけられたのは兄貴のジャケットだ。

そして、俺の後ろにはいつも通り、眉間に皺を寄せた兄貴がたっている。


ちなみに、トシ兄は俺の兄貴で教師をしている。


首半分くらいまである黒髪。
紫がかった切れ長の目

みんなの話を聞く限りではイケメンらしい。


だが反面。
顔がキレイな分、怒った時が怖いとか、
キレた時は半端じゃなく恐ろしいとか…

そんな理由で“鬼”なんて呼ばれているのも事実だ。


『いらねぇよ』

「ほぉ…?」
「夜、ずっと咳込んでたの にか?」

『……』


はぁ…
相変わらず兄貴には敵わない。
何故そんなことまで知っているんだか…。



『…わかった』

そう言って俺はトシ兄のジャケットを羽織る。

少しだけトシ兄の匂いがして…
サイズは少し大きいけど、人肌の温もりが温かい。


冬が近づいていることが肌を通して分かるから。
この温かさか嬉しかった。


『(温かい…)』


「行こうぜ千月」

『おぅ』

「あっ!待って平助君!
 千月ちゃん!」


「千月!テメェ走るんじゃ ねぇ!!」


冬はもう目の前。
今日も1日が始まった。
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