高校生の日常と…
□第2話 朝
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―――校門―――
「おはよう一君」
「あぁ」
「おはようございます、一 先輩、薫」
「おはよう、俺の可愛い妹 」
『…朝っぱらからよくやる よな…』
校門の前に立っていたのは斎藤一と南雲薫だ。
猫っ毛で首下くらいの藍色の髪。
前髪は少し長めで、紫に群青を混ぜたような瞳。
斎藤一こと一兄だ。
そして、千鶴と瓜二つで、千鶴の髪を短くしたような奴が、学園一のシスコンと
名高い南雲薫だ。
「…まぁ、薫のシスコンぶ りは直して直るようなも んでもねぇしな…」
そう。
薫のシスコンぶりは重度だ。
何でも、千鶴と薫は生き別れた兄妹。
この学園で再会したんだとか…
名字が違うのもそのせいらしい。
…ってこの声は…
『…左之兄…』
「おはよう、千月」
『おぅ…』
首下まである赤い髪。
黄色を帯びた瞳。
胸元を大きく開けた制服。
歩く18禁なんて呼ばれているのも分かる気がする。
色っぽいというか艶っぽい笑みを浮かべて挨拶をしてきたのは、原田左之助こと左之兄だ。
「…ってお前顔色悪いぜ? 」
『あぁ…』
『さっき平助たちと走って 来たから貧血だろ』
「大丈夫なのか?」
『あぁ、気にするな』
「そうか」
「でも辛かったら言えよ? 」
「看病ならいくらでもして やるからよ」
『…遠慮しておく』
左之兄に看病なんてされたあかつきには、あらぬことをされそうだ。
「安心しろ」
「いくら俺でも病人は襲わ ねぇよ」
『病人“は”ってなんだよ !“は”って!!』
「なんだよ、今から襲って 欲しいのか?」
『違う!!』
「冗談だよ、本気にすんな って」
『冗談に聞こえる冗談を言 え!!』
そういうことを左之兄が言うと、どうしても冗談には聞こえない。
「それよりもあんたたちは そろそろ教室に入った方 がいい」
「もうすぐHRが始まる」
「えっ!?マジかよ!!」
「走れ!!」
慌ただしい朝だ。