短編書庫

□これでもたくましいんです
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「ねえねえ、風魔とかアニキって逞しいよねえ!!」
「・・・は?」
今日は彼氏である元就の部屋にお邪魔しています。シンプルイズザベストな部屋には、机、本棚、ベッドなど、特筆するものは特にない。
なので、ぐだぐだ下らないことで駄弁っていた。
そんな私のさりげなく発した一言に、意外にも彼は食いついた。
「あの二人ならお姫様抱っことかひょいってしてくれそうだし、腕にぶら下がっても平気そうだしー」
「それは我を愚弄しておるのか?」
そう、彼はびっくりするほど細い。腕だって下手すりゃ私より細いんじゃ・・・!!
「別にそういう訳じゃないけどさー・・・」
やっぱ憧れるじゃん?と唇を尖らせると、

どさっ

「え・・・・?あ・・・・」
床に押し倒され、一瞬だけ思考が停止する。
「ほう・・・我がそれほど軟弱というか?」
私の両手首を片手であっさり束ね、押さえつける。抜け出そうとどんなにもがいてもびくともしない。
怒ったような、氷のように冷たい瞳で私を見下している。
「・・・っ」
涙が一筋頬を伝う。恐怖もあったが、愛想を尽かされたのでは、という不安が襲ってきたのだ。
「・・・すまぬ」
小さく彼は囁くと、優しく口づけを落とし、お姫様抱っこでベッドへと運ばれた。
横たえた私の体に覆い被さり、不器用に涙を拭ってくれる。
「貴様の想い人は誰ぞ」
「・・・元就」
「ならば、我だけを見ていればよい」
「・・・うん」
唇が重なる。私は元就の首に手を回し、甘い感覚に身を任せた。


これでもたくましいんです

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