社内恋愛とか勘弁して下さい

□社内恋愛とか勘弁してください
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閉院して、着替えも終わって。私はぼんやりと受付前の椅子に座って、ナルトがいっていたことを考えていた。

好きな人。それはどんな人なんだろう。きっと素敵な人なんだろうな、私なんか足元も及ばないくらいに。

「そうだよ、ネジ先生ももう大人なんだし、結婚とかも考えなくちゃいけないし」

無理矢理な妄想じゃ、どうしてもこの心の靄を消し去れない。

苦しい、苦しい。

「舞衣、帰るぞ」

いつもと変わらないように先生が私に声を掛ける。でも、私は動けない。

「舞衣、」

そんな私を不審に思ったのか、彼が近づいてくる。そして優しく手を取った。

やめて、そんなに優しくしないで。

これ以上好きになってしまったら後戻りできないから。

私は彼の手を、乱暴に払った。

唖然として私を見つめる先生。

「胸が、苦しいんです」

ズキズキと痛む胸をぎゅっと押さえる。その手に重ねられた、ネジ先生の大きな手。

その暖かさに、涙腺が一気に緩んで、ポロリと涙が零れ落ちる。

「先生のことを思うと胸がきゅんとなったり痛んだり、動悸が激しくなってしまったり。しまいには頬どころか全身が熱くなったり。

これは、どうすれば治るんですか?私はどうすればいいんですか?」

一度口に出してしまった本音はとどまることを知らず、私の想いをとうとう暴いてしまった。

ぼろぼろと流れる涙を彼は優しく拭ってから、彼の額が熱を測るときのように、私の額に重なった。

「それはあれだ・・・恋の病って奴だ」

そんなの知ってる、でもどうすればいいか分からないの。だから、治し方を教えてほしいの。

「治療法はいたって簡単だ。」

「先生・・・・?」

ただでさえ至近距離だった私たちの距離。先生の唇がそっと私のそれと重なって、0となる。

泣きたいくらいに優しい口付けが終わっても、彼の『治療』はまだ終わらない。

「舞衣・・・」

「好きだ・・・」

止めて。そんな声で囁かないで。

触れるだけのキスだけでクラクラしているのに、これ以上何かされてしまえば。

私は、きっと気を失ってしまう。

もう少し、この夢のような時間に浸っていたいというのに。

「舞衣、好きだ。一目見たときから、ずっと好きだったんだ・・・」

心なしか弱々しい声で告げ、私の首筋に顔を埋める先生のことが、愛しくて仕方ない。

「ネジ先生・・・私も、先生が、大好きです」

彼の背中に腕を回せば、心地良い温もりが伝わってくる。

先生があまりにも優しく頭や背を撫でてくるものだから、私はしばらく涙を止めることが出来なかった。





その頃物陰では・・・・

テンテンとナルトがひっそりと二人を見守っていた。

「お、抱き合ってるってばよ、見ろよテンテン!!」

「見てれば分かるわよそれくらい・・・それよりあんまり大きい声出さないでよ、二人に気づかれるじゃない」

鼻息荒く二人を見ているナルトはまだまだ子供だ。

一方テンテンは正直なところ複雑な気持ちだった。

もちろん二人の恋が成就したのは喜ばしいことだし、二人の関係に一番やきもきしていたのも彼女だ。

けれど実際くっついてしまうと。

「あたしの肩身が狭くなっちゃうじゃない、もう」

なんだかんだ言っても、ネジと舞衣が幸せに見つめあっているのを見れば、自然と笑顔になってしまうテンテンであった。




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