社内恋愛とか勘弁して下さい
□社内恋愛とか勘弁してください
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「そういえば舞衣ってさぁ、」
今はお昼休憩で、いつものようにテンテンと昼食タイム。今日はなかなか上手に焼けた、と少し自分の卵焼きに見とれていたときだった。
「いつネジ先生に告白するの?」
「っ?!!!!!」
あぁ、卵焼きを口に入れてなくてよかった、入ってたら確実に噴き出していた。
だってなんでもないことのように言うんだもん、いきなりこの子は何を言い出すのか。
「それは一体どういうことなのでしょうか・・・」
「え?だって好きなんでしょ、先生のこと」
え、なぜ分かった・・・じゃなくて、ご、誤魔化せねば!
「そんなわけないじゃない!もう何言ってんの〜」
「あぁそうなの、そういえば先生が好きだって人知ってるんだけど」
「それ誰?!」
がたんっとつい立ち上がってしまった。それから私ははっとする。
テンテンがニヤついていらっしゃる・・・。
「その通りにございます・・・で、でも告白なんて」
「何で言わないの?絶対言った方がいいって!!」
「で、でも私「おいサクラのカルテが見当たらないんだが・・・」
「こっち来んなーーー!!」
照れて頬を赤らめながら叫ぶ女の子・・・と言えば可愛げがあるかもしれないが、それと同時にグーパンチを浴びせる私が告白なんて、ありえない。
「・・・あーあ」
さっきはひどいことをした、と少なからず思う。
・・・なんか最近、ってか強盗が入ってから、ネジ先生がちょっと変だ。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ私への態度が変わった、気がする。なんだかそわそわしいと言うかなんと言うか。
それに、毎日帰りは、彼の車で送ってもらっている。なんだか悪い気がして、「いいです一人で帰れます」と言っているのに、彼は頑として聞いてくれない。
(先生のことがわかんなくなってきた・・・)
どうして私にそこまでしてくれるのか。雇っているものとしての責任を感じての行動なのか、それとも、
私と同じ気持ちだったり、するのだろうか。
「・・・いいや、それはない。先生に限ってそれはない」
「何がないんだってばよ?」
「うひゃあっ?!!」
一人考えに耽り過ぎたらしい。驚いて飛び上がるとか、初めてかもしれない。
声のしたほうを見れば、ナルトが少し驚いたような表情でガン見していた。
「へぇ〜、舞衣もびっくりすんだな」
「煩い黙れ。で、今日はどうしましたか?風邪でも引きました?」
「ん、俺じゃなくてサクラちゃんが」
彼の後ろにはマスクを装着したサクラがいて、小さくお辞儀をした。
「だよね、馬鹿は風邪引かないもんね」
サクラの受付を済ませてネジ先生に診察してもらっている間、私はナルトの話し相手(要は暇つぶし)になってやった。
嫌味たっぷりに言っても、「そーか?」と照れたように頭をかいていた。本物の馬鹿には嫌味など通用しないらしい。
「そーいや、最近ネジの様子がおかしいよな」
そんな馬鹿ナルトがそう切り出してきたのは、突然のことだった。おかげで反応が少し遅れる。
「え?そうかな」
「ん、最近妙にボーっとしてるっつーか・・・難しいこと考えるみたいっつーか・・・」
まあそれは私も感じている。強盗が入って意味深な行動を見せてから、彼はなんだか変わってしまった。
「噂じゃ好きな奴でも出来たらしいってばよ!ネジも隅に置けねぇなぁ」
ドキン。
何、その噂。初めて聞いた。
「へ、へぇ。そうなんだ」
「おう!なんだ舞衣、知らなかったのか?一番近くにいるってのに変な奴〜」
好きな人
近くにいたのに
何も知らない
変
にっこり笑うナルトが、次々言葉のナイフを投げつけてくる。
痛い、痛い。もう聞きたくないよ。