短編書庫

□普通のカップル?
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今日はサッカー部の朝練がなかったので、ゆっくり欠伸をしながら登校していると、ウチの高校でなかなか有名(っていうか知名度100%だな)なカップルを発見した。
王子様ルックな竹中半兵衛とその彼女の蒼ちゃんだ。これでもかというほどぴったりくっついている分には問題ないのだが、蒼ちゃんの首に着けられている首輪と彼らの会話が問題なのである。


「半兵衛、大好きよ」

「僕も愛しているよ、蒼」

「他の女なんか見ないでね、もし浮気したらその女も半兵衛も殺して私も死ぬわ」

「蒼だって他の男にうつつを抜かしていたら許さないよ?僕の部屋のベッドに縛り付けて痛めつけて、きちんと調教しなくちゃならなくなる」

「フフ、こんなに愛されて、私幸せ」

「本当に蒼は可愛いんだから」


・・・この二人の周りだけオーラがピンク色であるが、殺すだの調教するだの、今は朝だってわかってるのかな、少しは自重してほしい。
ぼんやりと心の中で突っ込んでいるとつかつかと心なしか威圧的な竹中が、こちらを睨みつけつつ近づいてきた。
蒼もついてくるのだが、竹中の背中に張り付いて離れない。

「猿飛くん、あまり蒼をジロジロ見ないでくれるかな 」
高飛車に言い放つ竹中は、背中の蒼ちゃんを気にしている様子はない。
「別にそんなつもりはなかったんだけど・・・つーかアンタの彼女はなんで背中に張りついてんの?」
「決まっているじゃないか、他の男を見ないようにだよ。蒼が気移りすることはないと思うけど、他の男が蒼に惚れてもやっかいだからね」
なるほどそれで、何て言えるわけがない。蒼は蒼で、竹中の背中をじっくり堪能しているようだ。
俺様はいっつもこのカップルに、同じ問いかけをする。

「アンタらどこか狂ってると思わない?」

すると、どっちに聞いても同じ答えが返ってくるのだ。

「どこにでもいる、普通のカップルじゃないか」

と。




普通のカップル?

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