短編書庫
□猫舌
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「熱っ!!」
恋人である蒼に夕飯をごちそうしてやろうという話になり、得意のシチューを作って仲良く背の低いテーブルに着いたとき。
さっそく一口食べようとしたらしい蒼が、急に叫んだ。
「どうした、蒼」
「ん、ちょっと熱くて・・・」
どうやらシチューが熱すぎたらしい。そういやコイツ猫舌だったなと思いながら「舌出せ」と促す。火傷でもしていたら大変だしな。
すると素直に舌を出す蒼。こういうところが可愛くてたまらない。
肝心な舌はというと、先が少しだけ赤くなってしまっていた。
「Sorry、もう少し冷ましておけばよかったな」
よしよしと頭をなでてやると、舌を出したままへらりと笑った。
よく見れば、ほんのりと赤く色づく頬、よほど熱かったのか潤んだ瞳。
「責任とってやるよhoney」
「ん?・・・んむっ」
優しく舌を唇で食み、俺のそれを絡ませる。くちゅ、と唾液の絡まる音を立てながら、甘く唇を食んだ。
柔らかい蒼の唇はどんなものよりも甘くて、美味い。
もう少し味わっていたかったが、蒼が苦しそうなので放してやった。
「これで少しはマシになっただろ?」
わざと目の前で舌なめずりしてみせると、顔がリンゴよりも真っ赤な蒼は、コクコクと何度も頷いた。
「ま・・政宗・・・」
恥ずかしそうに俺の胸にすり寄ってくる蒼があまりにも可愛くて。
「蒼、いいか?」
小さく頷く蒼を確認した後、すっかり冷めてしまったシチューのことも忘れ、そっと彼女を床に押し倒した。
猫舌