短編書庫

□私の可愛い旦那さん
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「でねー、今日は久しぶりにかすがと会ってお茶したんだよ〜」

「で、適当に入ったカフェの紅茶がすごくおいしかったの!!」

「今度ナリ君も連れて行ってあげるね!!ナリく〜ん」
「何をしておる。気色悪い」
家事を終えてソファでごろごろしていると、頭上から大好きな声がして、頭頂に手刀が降ってきた。
ぅぅ、地味に痛い・・・・・
それでも抱きしめていた狐のぬいぐるみとともに元就に抱きついた。
「わーい!!やっと帰ってきた〜!!」
私たちは夫婦だ。もっと言っちゃえば新婚だ。しかし元就は若くして会社の重役を務めており、世界を飛び回っているせいでなかなか帰ってこない。恋人時代もそれで寂しい思いをしたのだけど、それ覚悟で結婚したのだ。
よしよし、と元就が頭を撫でてくれる。
「寂しかったか」
「う〜・・・少し寂しかったけど大丈夫!!だってナリ君がいるもん」
そういいずいっと彼に見せたのは大きな狐の抱き枕。寂しさに耐えられなくなったときに内緒でこっそり買ったのだ。
彼の反応は、というと。
盛大に眉間にしわと寄せ、冷たい瞳でナリ君を射抜いていた。
そしてあろうことか元就はナリ君に首をがっと掴み私から取り上げソファに放り投げた。
「ああ、ナリくーーーーんっ!!!」
ソファに駆け寄ろうとしていた私の腰を引き寄せ、強く抱きしめられる。
「ふぁ・・・元就?」
「すまぬ・・・だが、あの人形はもう必要ない」
「え?」
「我は此度社長となった・・・もう各国を飛び回ることはない。
少なくとも・・・毎夜と休日は傍に居る」
「元就・・・」
大好きー!!と思い切り抱きつくと、ちらりと見える彼の耳が真っ赤に染まった。



私の可愛い旦那さん


「何故その狐を抱いて寝る・・・?」
「だってずっとだっこして寝てたから・・・居ないと落ち着かなくて・・・」
「・・・・・」
「ん?もしかして妬いてるの?可愛い〜」
「・・・・(イラッ」
次の日ナリくんは元就によってどこかに封印されてしまいました。

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