Long Story

□敢闘、その後
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ゆえに、シエルは思考する。

「……」

どうしたものか、と。解決に導く方法を、痛む頭を動かして必死に考えている。
要は、セバスチャンの姿の異常性を僅かでも薄め、出来る限り早くこの場から立ち去ればいいのだ。そうすれば、「大怪我した避難者が居たが、命に別状はない」という話ですんなり騒ぎはおさまる。
だが問題は、遠巻きにこちらを見ている人々の様子では「大丈夫だから心配しなくていい」とこちらが言ったところで到底信じてもらえそうにない事だ。今も尚、ヒステリックに騒ぎ続けているのだから、事を穏やかにおさめたいシエルにしてみれば、たまったものではない。

こうなれば実力行使だ。
一刻も早く、セバスチャンをこの場から退場させよう。
その後なんて、どうとでもなる。

些か計画性に欠けるが、もはやシエルはこれ以上頭を悩ませるのが面倒だった。
解決出来ればいいのだ。たとえ、傍らの執事が被害を被ったとしても。

「僕を守って執事が怪我をしてしまったんです…!」
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