Long Story
□敢闘、その後
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「…一体何なんだ?」
「さあ、私にも分かりません」
自分の預かり知らぬところでおかしな状況が展開されている事に、だんだんイライラとし始めているシエルを傍目に見て、
「聞いてみましょうか」
セバスチャンは呟くように言うと、比較的近くに居た青年に突然声を掛けた。
「すみません、少々お聞きしたいのですが…」
「ひぃっ!」
セバスチャンに声を掛けられ、青年の顔が一瞬にして強張っていく。あのホットミルクをくれた若い船員だと、シエルは気付いた。
「皆さん、何をそんなに驚かれていらっしゃるので?」
「あ…あ…」
青年は口をパクパクと動かして、言葉にもならない言葉を出していた。あまりの驚きで声が出せなくなったらしい。
何度も声を出そうとして失敗しつつ、青年はようやくシエルとセバスチャンの疑問に答えた。
「あ…あの、大丈夫ですかっ!?」
「はい?」